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最近、赤也が何故かあの女に懐いてる。理由は、知らんし興味もないが見ていて気分が悪い。
もちろん、赤也に対してじゃない。赤也は、あぁ見えて単純な上に純粋だからあの女に騙されてるんじゃないかと思っとる。
そんな事を考えながら歩いていると噂の赤也が柳生と嬉しそうに話しているのが見えた。
「やーぎゅ、それに赤也もなに話しとるんじゃ?」
「おや、仁王くん。またサボりですか?感心しませんね」
「仁王先輩、チッス!次、英語だから逃げて来たんスよ!」
「またかの。いい加減にせんと真田にまた怒られても知らんぜよ」
「だ、大丈夫ッスよ!それに仁王先輩だってサボってるじゃないッスか」
どうやら、苦手の英語から逃げて来たらしい。まぁ、赤也の事だから授業に出てもサボってもあんまり変わらん気がするが一応、こう言っておかなきゃ後で真田に俺まで小言を言われるかもしれんからのぅ。
それに赤也の言う通り、俺もよくサボるから人の事は言えんが、さすがに赤也程成績は悪くはない。
「とにかくサボるならそれ以上に勉強を頑張って下さいね。私は、そろそろ教室に戻りますよ」
「はいッス!またお昼の時ッスね」
「しょうがないのぅ。なら俺が一緒にサボってやるぜよ。ジュースよろしくナリ」
「えー!?たまには、仁王先輩が奢ってくださいよ」
「ピヨッ」
ブツブツと文句を言いながらも財布から小銭を取り出すといつものジュースを買ってくる辺り、やっぱり赤也はいい子ナリ。
色々と騙し概もあるしのぅ。
そして赤也と屋上に向かうが普通に寒い。いくら晴れてると言っても4月の風はまだ冷たい。
「…寒いぜよ」
「そう言えば仁王先輩も寒がりだったスね」
「"も"って誰の事を言ってるんじゃ?」
「楠木先輩ッスよ。この間、ここで寝てたんスけど寒かったみたいで猫みたいに丸まって寝てたんスよ」
「…………」
なるほど。その時になにかあった訳じゃな。それにしてもまた寝てたのかあやつは。学習能力がないのか、ただのバカなのか…。まぁ、どうでもいいが。
「そんで前にひじき頭とか言われてムカついてたんスけど、一応あの人も女だしブレザー貸してあげたんスよ」
「ほぉ?それで?」
「普通にお礼言われました。しかもあの楠木先輩ってば笑うと可愛いんスよ!」
ホッントに単純じゃな。
なんでブレザー貸したお前が懐いてるぜよ。普通に考えたら逆じゃろ。
いや、でも赤也じゃから仕方ないかのぅ。
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