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ずっと暴れていた璃亜だったが膝くらいまでタイツを脱がした辺りで掴んでいた腕を離すと顔を覆い泣き出した。
小さな声で見るな…と呟きながら。
さすがに腕程ではないが、至るところにある打撲傷に思わず顔をしかめる。
そして完全にタイツを脱がし、次は丸くなる様にして泣いている璃亜の制服に手を掛ける。
「…っ!や、やだっ…!」
「暴れるんじゃなか」
「…もう、いい…からっ! 」
「……………」
「…や、だぁ…」
やだやだと泣く璃亜にソッと制服から手を離す。
なんじゃろうな…この気持ち。
今の璃亜は、身体中が痣だらけと言ってもおかしくない程にボロボロだった。それに僅かだか切り傷もある。
ここまでされて何も言わずに我慢する璃亜が理解出来ん。学校を休むなりなんなり出来たじゃろ。もっと他に羽川を守る方法があったんじゃないのか。
「…くっ…うぅ…早苗には、言わないでっ…」
「……………」
「お願いっ…」
「お前さんは…本当にバカじゃな」
もうなんでもいいから早苗だけには、言わないでと懇願する様に泣きじゃくる璃亜は、今にも壊れそうなくらい弱々しかった。
前に璃亜は俺等に"守って貰う理由がない"と言った時があった。
前までは、確かにそれもそうだ。と思っとったが…実際のところどうだ?璃亜は、俺等が原因で何をされようと俺等を責めなかった。
そして助けも求めなかった。
つまり、こやつはなんでも自分でどうにかしようとする。頼る事を守ってもらう事を迷惑を掛ける事だと勘違いしとる。
「…お前さんは、いつもそうじゃな。なんでもかんでも一人で解決しようとする」
「……っ…くっ…」
「もう少し周りを頼りんしゃい」
「ぅっ…でも…早苗がっ…」
「羽川は、こんなお前さんを見たら自分を責めると思うが。お前さんが羽川の立場ならどうじゃ?嬉しいか?」
本当にバカで可愛くない。
アホで真っ直ぐで純粋で超が付くほど優しい。
だから放っておけん。
俺の言葉にあたしは…あたしは…と呟く璃亜の頭を撫でてやる。
本当ならひっぱたいてやりたいくらいなんじゃが、嫌って程殴られとるからの。
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