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下駄箱で暫く待っているとゆっくり足音が聞こえて璃亜だとわかり、物陰に身を隠した。

そして体を引き摺る様に歩いてくる璃亜を確認する。頬は、ビンタをされたお陰で赤くなっていた。

そして辛そうにぎこちない動きで下駄箱から自分の靴を取り出す璃亜にゆっくりと後ろから気付かれない様に近付き腕を掴んだ。



「…………っ!!」

「お前さん何しとるんじゃ?」

「…に、仁王。いやさ、ちょっと島ちゃん(担任)に呼ばれててさ。マジないわー」

「じゃあその頬は、どうしたんじゃ?島ちゃんにでも殴られたのか?」

「………っ!」



咄嗟に手で頬を隠すと璃亜は、目を反らした。しかも俺が掴んでいる腕が痛いのか微かに璃亜の体が震えている。

それでも必死に隠そうと必死に言葉を探している璃亜。



「どうしたんじゃ?」

「に、仁王こそなんでこんなところにいる訳?なに、サボり?真田くんに怒られろ!」

「……………」

「…っ!ちょ、なんだし」



…どこまでもしらばっくれる気か。

さすがにここで長話をする訳にもいかんぜよ。

璃亜が逃げん様に再度、腕を掴み直すと痛かったのか璃亜は少し顔を歪ませた。

じゃが、そんなん無視じゃ。

ポケットから携帯を取り出し、柳生に電話をする。まだコートには出てないだろうから出るはずだ。



「"仁王くんですか?どうしました?もう部活が始まりますよ?"」

「急用が出来たから今日は、部活を休むと幸村に伝えといてくれんか?」

「"…急用ですか?"」

「訳なら後で話すって言っといてくれんか」

「"仕方ないですね。わかりました。では、伝えておきますね"」

「あぁ、悪いのぅ」



柳生との通話を終えて携帯をしまうと璃亜が俺の腕を振り払い駆け出そうとするがそう簡単に逃がす訳にはいかない。

それにまともに走れない様で、すぐにまた璃亜の腕を掴むとビクリと璃亜の体が跳ねる。

そして凄い勢いで腕を振り払おうとするが俺は、腕を離さない。



「痛いから放してっ!」

「放したら逃げるじゃろ」

「…は、はぁ?」

「ほれ、大人しくしんしゃい」

「な、……っ!」

「裏口から出るから心配なか。それとしんどかったら言いんしゃい」



璃亜の腕を掴む力を緩めてそのまま腕を引いて下駄箱を出て、そして裏口から学校を出た。





(仁王くんは、部活を休むそうです)
(随分と急だね。理由は?)
(急用が出来たそうで)
(さっき忘れ物をしたからって言ってたぜい?)
(忘れ物が急用なんじゃねぇのか?)
(理由は後で話すと言ってましたよ)
(ふーん?まぁいいか)
(うむ!練習を始めるぞ!)


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