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雨音には、出来れば璃亜に直接聞かないでくれと言われた。さすがにそんな事をするつもりは、ないんじゃが。


そして璃亜を軽く監視する事にした。もちろん、バレない程度にじゃが。

よく見ると歩き方もぎこちなく見える様な気がする。まぁ、羽川が気付かないくらいだから本当に少しだけじゃが。

それとなるべく動かない様にしているのか行動範囲が大幅に狭まった。授業はサボらないし、基本的に椅子に座っている。


つまり呼び出しをされていない。てっきり、ファンクラブの奴等に呼び出しをされてるのかと思ったがそんな事もなく放課後になり、俺は部活に向かった。



俺と雨音の考え過ぎか?
ただ本当に派手に転んだのが恥ずかしくて怪我を隠してる?

いや、それはまずないだろう。雨音と佐々木が言うには、転んで出来る様な痣でもなければ数がおかしいと言っていた。


かと言って本人に聞くわけにもいかんしのぅ。


練習のメニューをこなしながらそんな事を考えていた。



そして部活がもうそろそろ終わると言うところで今まで補習を受けていたらしく赤也が遅刻して来た。

案の定、真田に怒られる赤也だったが何故かいつもより凹んでない様子で片付けの手伝いをし始める。



「なんじゃ、赤也なんかいい事でもあったんか?」

「あっ、わかります?」

「そんだけ顔がにやけてれば誰だってわかるぜよ。それで何があったんじゃ?」



あ、マジッスか?と言いながらも嬉しそうに笑う赤也を見る限り相当、いいことがあったんじゃろう。

そしてどうしよっかなぁ〜と無駄に焦らす赤也に若干、もう聞かなくてもいいか。と思い始めた。

しかしそんな俺の態度に気付いたのかじゃあ教えるッス!なんて意気込む。



「で、なんじゃ?」

「楠木先輩に会ったんスよ!」

「………璃亜に?」

「なんか担任に呼ばれてたとかで残ってたらしくて廊下で会ったんスよ!」



…今日は、大体の時間は璃亜の様子を見ていたが担任にそんな事を言われていた覚えはない。

移動教室の時に言われた可能性もあるが…



「あ、これ秘密ッスよ?楠木先輩に誰にも言うなって言われたッスから」

「…………」

「で、黙ってるって言ったらいい子って頭撫でてもらっちゃって!って、仁王先輩?」



なるほど。わかったぜよ。
なんで気付かなかったんじゃ。

俺等が絶対に璃亜から離れる時間。一緒にいられない時間。

つまり璃亜は、俺等が部活中の時に呼び出されてたんじゃな。


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