君は僕等に背を向ける (1/4)
屋上でボーッとしていたら、珍しい奴から電話が来てどこにいるのかを聞かれ、屋上に居ることを伝えた。
そして電話を切ってから暫くすると屋上のドアが開く音がしてペントハウスに上ってくる。
「お前、いつもこんなところでサボってんのかよ」
「たまにぜよ。で、なんの用じゃ?」
「ちょっと仁王に聞きたい事があるんだよ」
「璃亜の事なんだけどよ!」
「那由は、黙ってて」
佐々木は、相変わらずの様子だが雨音の様子があからさまにおかしい。と言うか、いつもと雰囲気が違うと言うべきじゃな。
それに俺に聞きたい事が璃亜について?
状況がいまいちわからんが何かあったのだと判断した俺は、素直に雨音の話を聞くことにした。
「最近の璃亜の様子は?なにか変なところはなかった?」
「なんでそんな事を聞くんじゃ?」
「いいから、なんかなかった?」
「特に何もないと思うが。強いて言えば寝てる事が多かったくらいじゃな」
「………………」
納得してないと言った様子の雨音にもう一度ここ最近の璃亜の様子を思い返してみる。
いつもの様にブンちゃんと騒いでた様な気がするがのぅ…
んっ…?そう言えば、寝ていた璃亜の肩をつついた時にヤケに勢いよく飛び起きたな。
それも何度も。
それにブンちゃんに背中を叩かれた時もかなりビックリしてたぜよ。
「あやつ怪我でもしてるんか」
「なんか思い当たる事ある?」
「いや、わからん。正直お前さんが思ってる程、璃亜と一緒にいないぜよ」
「じゃあ璃亜が急にタイツ履きだした理由なんだと思う?」
「羽川から寒さ対策って聞いたが。ん?まさか」
あぁ、そうか。なるほど。
怪我を隠すためのタイツか。さすがにそんなの普通は、気付かんぜよ。
じゃが、怪我をしてるとしても何故それを隠す必要がある?俺等に知られたくない理由でもあるんか?
あぁ…なるほど。
予想はだいたいついた。
「璃亜は、どこにいるんじゃ?」
「多分、帰ったんじゃないかな。教室に行ったらカバンなかったから」
「雨音、お前さんなにを見たんじゃ?」
「璃亜の腕が痣だらけだったんだよ」
「詳しく話しんしゃい」
そして雨音は、璃亜とたまたま廊下で会って一緒に歩いていたら璃亜が誰かに階段から突き飛ばされた事。
咄嗟に佐々木が腕を掴んだら璃亜の様子がおかしくて腕を見たら痣だらけだった事。
そしてなんでもないと言ってその場から逃げ出した事を話してくれた。
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