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あぁ…やっぱり少し寝たけど目が霞むし、頭は痛いし最悪だ。

そんな事を考えながらも那由と康ちゃんと階段を下りる。ちなみにジュース買いに来たらたまたま会っただけなんだけどね。



「でさー幸村ったら無言で圧力掛けてくるし、すげぇこえーのなんのって!」

「いや、あれは那由が悪いでしょ」

「へぇ?那由達、幸村くん達とも仲良くなったんだ」

「まぁ、幸村と真田とはある程度話した事あったからな」

「むしろ、真田を下ネタでからかうの楽し過ぎてヤバい!」

「おい、やめてさしあげろ!」



まぁ、那由はコミュ力が異常だからね。いや、でもあの幸村くんにイタズラをしようとするのはこいつしかいないんじゃなかろうか。

そして真田くん…ドンマイ!

なんか那由にからかわれて顔を真っ赤にして怒ってる真田くんが目に浮かぶ。

しかもそれを幸村くんと康ちゃんは、止めずに笑いながら見てそうだ。


ドンッ


そんな事を考えていると誰かに背中を押された。ぶつかったとかじゃなくて、あからさまにあたしを階段から落とすつもりで背中を押した。



「うおっ…!?璃亜っ!!」

「チッ……」

「な、あいつっ!?わざとか!?康、あいつ追えって!」

「わかっ…って、璃亜?」

「………だ、大丈夫っ!」



咄嗟に那由があたしの腕を掴んでくれたお陰でどうにか階段から落ちる事は、なかったんだけど…

那由に掴まれた腕に激痛が走って咄嗟に言葉が出なくなった。

すぐに顔を上げると那由は、なんだ?と言わんばかりに頭を傾げていたが、康ちゃんは違った。

すぐに那由の手をあたしの腕から離すとあたしが止めるのも無視して躊躇なく袖を捲った。



「お、おい…これって」

「いや、なんでもないから!」

「なんでもない事は、ないでしょ」

「…家で派手に転んだんだよ。言わせんな、恥ずかしい」

「…璃亜」



康ちゃんは、鋭い。だからたまに怖い。

嘘を言うなと言わんばかりにあたしを見つめる康ちゃんに言葉を失う。あぁ、康ちゃんのこの瞳は苦手だ。



「ホントに大丈夫だから」

「大丈夫じゃないよ。最近、タイツなんか履きだしておかしいと思ったらこういう事だったのか」

「え、なにどういう事?」

「璃亜、何があったの?」

「ごめん!ホントに大丈夫だから!」



ダメだ、康ちゃんのあの瞳から逃げられる気がしない。

バッと康ちゃんの手を振りほどいて逃げるように教室に向かい、カバンを持ってすぐに帰った。





(…康?)
(仁王のところに行く)
(えっ?てか、璃亜は…)
(今追い掛けても多分意味ない)
(お、おう…あいつ大丈夫かな)
(大丈夫じゃないでしょ)
(仁王に言うのか?)
(誰にも言うなとは言われてない)
(ま、まぁ…そうだけどよ)


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