大切な君の為なら (1/4)
この光景を見るのは、何日振りだろう。ズラァッとまではいかないが数人の女子に囲まれ、睨まれている。
前と違うところと言えば、時間帯ぐらいかな。
放課後、あたしは委員会に入ってないからさっさと帰ろうとしたんだけど…まぁ、彼女等に下駄箱で捕まってこうして囲まれている訳だ。
「あんたホントに懲りないわね。なんで呼ばれたからわかるわよね?」
「丸井くんにケーキあげたんだって?何が興味ないよ!ふざけんなよ!」
「しかもお昼も一緒に食べてるって噂だし。あんた何様な訳?」
「テニス部のみんなは、優しいから言わないだけで迷惑してるのよ!わからないわけ?」
あー…はいはい。
安定のキチガイですね。
まぁ、確かに丸井にケーキはあげたし。一緒にお昼食べてますけど。
と言うか、ホントになんでも知ってるなぁ。さすがキチガイ集団だわ。怖い怖い。
相変わらず、あたしを鬼の形相で睨み付ける女子に溜め息を吐く。
あいつらと関わるのも大変だなぁ。まぁ、今更関わりたくないとか思ってないけどさ。なんだかんだであいつらと居るのは楽しいし。
「黙ってんじゃねぇよ!テニス部は、みんなのモノなの!何回言えばわかるわけ?」
「それともなに?また襲われたい訳?」
「ふーん、やっぱりあれあんた達の仕業だったんだ。わかってたけど」
「その様子だと余り懲りてない様子ね。さすがビッチね。襲われたくらいじゃへこたれないのね」
「テニス部のみんなが汚れるから近寄らないでくれないかしら?ビッチは、ビッチらしくそこら辺の男と遊んでなさいよ」
……………。
好き勝手言いやがって。
懲りるも何もあたしは、何もしてないっつーの。なんであいつらと話すのにお前等の許可が必要なんだよ。
しかも前から思ってたけど、みんなの"モノ"ってなんだし。
勝手に人をモノ扱いしてんじゃねぇよ。
「あ、そうだ。羽川早苗にもムカついてるのよね。柳くんといっつも一緒にいるし」
「しかもあいつは、あんたと違って隙がなくて手が出しにくいのなんのって」
「でもマネージャーやめた今ならいくらでもチャンスがあるのよねぇ。委員会の後とか…」
「そうねぇ…今日も羽川は委員会だったわね。帰りは遅いし、一人なんじゃないかしら?」
あぁ…ホントにこいつらクズだわ。
クスクスと笑いながら意味ありげに携帯をちらつかせる目の前の女子に虫酸が走った。
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