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とりあえず、仁王とは並んで歩かなければいいや。と思ってたのになんの躊躇もなくあたしの隣を歩く仁王をぶん殴りたくなったが廊下でそんな事をしたら面倒臭い事が起きそうなので我慢した。


あ、てか、今更だけど普通にジャッカルくんにケーキあげるところを見られるのもヤバい気がするんだけど。

しかもわざわざ、教室まで来て!

あ、あれだ!こ、これは、仁王に任せるべきだ。



「に、仁王く〜ん自分が貰った物は、自分で持った方がいいですぞ」

「……………」

「ジャ、ジャッカルくんと食べるんでしょう?ほ、ほら早く持っていきたまえ」

「ソウジャナーナラソウスルゼヨー」

「では、あたしの荷物持ちはここまでですね!では、さらばでござる」



凄まじい棒読みで話を合わせてくれた仁王に心の中で突っ込みながらもあたしは、逃げるように教室へ戻った。

しかし戻ったら戻ったで丸井がケーキサンキューだの美味いだのと、でかい声で言ってて頭が痛くなった。



*****


凄い勢いで走っていく璃亜を見送りながら強引に押し付けられた箱に一度視線を落としてからゆっくりとジャッカルの席へ向かった。



「ほれ、ジャッカルにお届けもんじゃ」

「お、仁王か、どうした?って、なんだよこの箱?お前がプレゼント受け取るとか珍しいな」

「俺のって事になっとるが俺のじゃなか」

「はぁ?」

「静かにしんしゃい。これは、璃亜からじゃき」

「楠木から?あ、あぁ…ブン太に作ってくれたのか。でもなんで俺に?」



周りの奴に聞こえない程度の声で璃亜からと伝えると心なしか嬉しそうじゃ。

それで日頃の感謝と労いの意味を込めてと璃亜が言ってたと伝えると泣きそうな顔であいつ良い奴だよな…と呟いた。

まぁ、ジャッカルは色々と苦労しとるからのぅ。ブンちゃんとか赤也とか…いや、テニス部全員じゃな。

そしてジャッカルがゆっくりと箱を開けるとブンちゃんのケーキとは、また違うケーキが現れる。



「ほぅ、シフォンケーキかの?ブンちゃんのとは、随分と違うぜよ」

「ブン太は、かなりの甘党だって言ったからな。俺のは甘さ控え目にしてくれたのか」

「ほぅ。ブンちゃんのは、ダメでもこっちは食べれそうじゃの」

「お、仁王も食うか?なんでか知らねぇがお前が届けに来たんだしな」

「そうじゃな、貰うぜよ」



そして綺麗に切り分けられたシフォンケーキを一つ手に取り、とりあえず一口食べてみた。


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