すぐに戻るから (1/4)
仮マネージャーを終えて暫く経ったある日。
最近よく那由と康ちゃんが教室に遊びに来るようになったんだけど。
丸井と那由がうっざいから避難して来た。ちなみに早苗は、柳くんがいないらしく康ちゃんと楽しくお話中です。
「ん?楠木か?珍しいな」
「うわっ!や、柳くんっ!?」
「そんなに驚く事もあるまい。むしろ、楠木がこんなところにいることに驚くが」
「柳くんってたまに失礼だよね」
あたしが逃げて来た場所は、図書室。つまり、柳くんも図書室にいたと言うことだ。
そしてあたしが図書室にいるのが珍しいと柳くんが言ったわけだ。いや、まぁ…確かに図書室とか滅多に来ないけどさ。
柳くんは、読書してる事が多いし全然いても違和感ないよね。むしろ、ピッタリですよね。
「それでどうしたんだ?楠木が読書するとは思えないが」
「いや、あーっと勉強?てか、学校って医学書とかってあるの?」
「ほぅ、なるほど。自分の病気について調べるつもりか」
「まぁ、そんなところかな。携帯とかで調べてもあんまり出てこないんだよね」
「うむ。楠木の病気はかなり珍しい奇病だからな。簡単には調べられんだろう」
まぁ、わかってたけどね。
やっぱり病院で詳しく聞くしかないかなぁ。でもそうなると大学病院まで行かなきゃならないし。
うへぇ…しかも行ったら行ったで色々やられるんだろうなぁ。今から気が重い。
とりあえず、医学関係の棚からそれっぽい本を探すしかない。
「早苗に聞くのが一番早いんじゃないのか?」
「いや、早苗には聞かない。まぁ、特に意味はないんだけど」
「うむ。ならば、これを読むといい」
「ん?なにこれ?柳くんのノート?」
「いや、これは跡部から預かった物だ。璃亜が必要とする時があれば渡せと言われていてな」
そう言いながら小綺麗なノートをあたしに差し出す柳くん。とりあえず、ノートを受け取るが…跡部くんから預かったってどういう事だろ?
まぁ、読んでみろと言わんばかりの柳くんに頭を傾げつつノートを開くとそこには、びっしりと字が書き込まれていた。
「楠木の病気についてまとめてある。跡部が医者に頼んでくれてた様だ」
「…マジか」
「それを読めばさすがの楠木でも大体は、理解出来るだろう。それにしても、こうして話していると本当にお前が病気だという事を忘れる」
「あれ?なんかあたしバカにされてる?」
軽く目を通していると柳くんがゆっくりと椅子に座る。
それに釣られてあたしも柳くんの隣に座るとタイミングよくチャイムが鳴った。
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