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で、そんなわかちゃんがわざわざわたしを呼び出すって事はそれなりに理由がある訳で…ちょっとドキドキしながら、 "それで今日はどうしたの?" と訊ねた。
「病状が快方に向かっているのは氷室先生に説明されたのでわかるんですが、ここ数日少し様子がおかしかったのが気になったので」
「…へっ? そんなに変だった?」
「まぁ、俺から見たらですけど。本当なら璃亜さんから何か言われるまでは、俺から聞くつもりはなかったんですけど流石にちょっと気になったので」
「えー…うわぁ、わたしってそんな顔に出てるかなぁ…。いや、別に隠してた訳じゃないけど…そんなに態度に出してた訳じゃないのになぁ」
「財前辺りも気にしてましたよ。 "あれは要らん余計な事考えとる時の顔やな" って」
「君達仲良い上に察し良過ぎない?」
なんかわたしの周りって察しが良い人間が多過ぎない? いや、マジでわたしが変に顔に出てる可能性もあるけど…そんなにわかるもんかね?
…まぁ、いや、でも、うん。
ここ数日、確かに色々と変に考えてたから否定もしないし…というか、今更しないけどさ。
「まぁ、ちょっと色々と思う事があったりしてね。それがちょっと重なった感じ?」
「病気の事と…ジュニア大会について、とかですか? 前者の方は…まぁ、璃亜さんの性格的に理解出来ますけど、後者は時期的にそれしかないって理由で言ったんですけど、参加したくなかったとかですか?」
「エスパーかな? いや、参加したくないとかじゃなくてさぁ…ちょっと実力差やら自由に試合出来ない息苦しさで迷走してた感じ」
「なるほど。でも今こうして話せてるって事は、もう大丈夫なんですね」
「いや、そこまでわかるとかもはや怖いが!?」
「いつも、悩んでる最中の璃亜さんは自分から余り話さないじゃないですか。なので、普通に話してる時点でもう落ち着いた後だと思っただけですよ」
…な、なるほど。
つまり、わかちゃん的にはわたしが自分から相談する訳がないからと、こうして呼び出してまで話を聞いてくれようとしてた訳だ。
だけど、あっさりわたしが話したので解決したと判断した訳だ。
なんかここまで気にしてくれたのに既にスッキリバッチリ元気になっているのが、ちょっと申し訳ない。
「まぁ、元気になったなら良いんですけどね。それに俺は、少し話がしたかっただけですし」
「そのわりにちょっと不満そうな顔してません?」
「…うるさいです。もう少し俺が早く行動しとけばよかった話ですし…別に不満じゃないです」
「不満そうやんけ! でもわたしは、久し振りにわかちゃんと話せて嬉しいけどな!!」
「はぁ〜…」
「まさかの溜め息!?」
そして、何故かわたしの顔見て盛大に溜め息を吐くわかちゃんである。
なんでかよくわからないけど、更に溜め息を吐くわかちゃんの顔を覗き込むと何故か笑われた。
…おい、急に笑うな。
イケメンが過ぎるぞ、わたしが死ぬぞ、やめろや。
(いや、なに顔赤くしてるんです?)
(わかちゃんがイケメン過ぎるからや!)
(…なに言ってるんですか?)
(わたしもそう思う)
(ついに頭おかしくなったんです?)
(それは辛辣過ぎませんかね!)
(あ、元からでしたね)
(更にひでぇ! なのに顔ちけぇ!)
(相変わらず、バカっぽいですね)
(罵倒しながら頬撫でんのやめて!?)
※久し振りのわかちゃん(ちゅき)
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