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俺の膝というか…俺に跨がる様にして座る璃亜は顔を手で覆いながら、顔から火が出そうだよ! とか言いながら固まっている。
いや、下手に動かれるとそれはそれで物凄く大変な事になるから有り難いけどさ。
とりあえず、思ってたより際どい体制でちょっと自分をぶん殴りたい。
「もっ…もぅ…わたしに、精市がよくっ…わからないよっ…」
「大丈夫、俺もよくわかってないから」
「そ、それ全然大丈夫じゃなーい! っ…ぬわっ…こ、今度はなに!?」
「いや、璃亜の顔が見たいから手が邪魔だなって」
「う、うわぁぁあ! や、やめてっ…し、しぬぅ! 口から心臓出るぅっ!」
あ、ちょっと暴れないで。
流石にこの体制で動かれるとかなり不味い。俺も普通に男の子だからね、色々と我慢の限界もある訳で…自然現象とはいえ、ちょっとそれは避けたいからね? 璃亜に引かれるのは、嫌だし。
仕方なく璃亜の手を離すと、パッとすぐに自分の顔を手で覆うと隙間からチラチラと様子を窺っている。
無理矢理にでも逃げようとしないのが璃亜らしいよね。まぁ、この体制で逃げるってのもなかなか難しいと思うけど。
仕方ないので必死に顔を手で覆っている璃亜を軽く見上げながら、そのまま抱き寄せると璃亜がまた訳のわからない悲鳴を小さくあげた。
…えっ、どんだけドキドキしてんの? 璃亜から伝わる心臓の音にちょっとビックリして思わず顔を上げた。
「…心臓壊れそうだね」
「ほ、ほんとだよ!」
「こんなにドキドキしてるとは思わなかった」
「な、なんでだよ! さっきからそう言ってたじゃん!!」
「えっ…だって、璃亜だし? それに前みたいに逃げ出さないから」
「に、逃げ出すと精市が悲しむじゃん! 絶対に悲しいなぁ…とか言うじゃん!!」
「いや、まぁ…そりゃあ言うけど。じゃあ、璃亜が逃げ出すまでこのままでいようか」
「えっ…はっ!? どんな拷問!? 璃亜さん死ぬぞ!!」
あーあ、もう本当に狡いし可愛い。
逃げ出したいけど、俺の為に逃げ出さないって…本当にバカなの? そんな事言うと本当に逃げられない様に食べちゃうからね。
ていうか、前に俺に上乗りになった時とかあったのに…なんていうか、本当に意識してると反応が可愛いよね。普通なら絶対に嫌がるだろうに。
とりあえず、自分で自分の首を絞めつつも璃亜が可愛いのと久し振りに璃亜と触れられる機会なので存分に構ってあげた。
最終的に璃亜も俺の髪の毛を触ったりするくらいには、慣れたけど…なんかね、そのたどたどしい感じがまた可愛くて、本当に璃亜って罪深い女だよね。
(千歳とかにもよく抱っこされてるし、同じじゃないの?)
(いや、全然違うね!!)
(ふぅん…向きの問題?)
(それもあるけど、精市ってのが問題!!)
(俺だと何が違うの?)
(ひ、ひえっ…そ、その顔とか)
(顔批判は流石に傷付くけど)
(ち、違うよ! う、嬉しそうな顔するじゃん!)
(そりゃあ嬉しいからね)
(す、素直ぉぉ!!)
(ふふ、璃亜の顔もよく見えるしね)
(や、やだぁ! 不細工だから見るなぁ!)
(そんなの見るに決まってるじゃん)
(い、いやぁ! うわぁ、にっこにこー!!)※構われてイチャイチャしてるだけになった。
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