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俺の腕の中で挙動不審な動きをしながら、訳のわからない悲鳴を小さくあげている璃亜に悔しいやら可愛いやらで、少し混乱している。
璃亜が嫌だって突き飛ばさないのは、わかってるけど…本当にされるがままなのはどうなの? だから、財前とか日吉とか…その他大勢に好き勝手されるんだよ。
…本当に腹立つなぁ。
「せ、せせ精市っ…!?」
「ん、なーに? どうしたの?」
「い、いやっ…なにじゃなくて!? むしろ、わたしがどうしたの? って聞きたいんだけど!?」
「えー? なんかムカついたからお仕置き中。それとちょっと拗ねてる」
「理不尽じゃないですかね!? ていうか、拗ねてるの!?」
「拗ねてるよ。だって、璃亜が全然頼ってくれないし。俺じゃダメなんだーって…あーあ、悲しいなぁ」
さっきの言葉ですらまともに伝わってない辺りが、本当に璃亜って感じだよね。まぁ、知ってたからいいけど。
とりあえず、璃亜の頭に顎を乗せながらムスッとした顔をしているのは確かなので、普通に拗ねてるよ。そして愚痴る様に呟けば、璃亜が慌てる様に違う違うと騒ぎ出す。
仕方なく、ゆっくりと少しだけ体を離すと璃亜が勢い良く俺を見上げてくる。
…はぁ〜〜っ、こういうところも本当に狡いよね。もしや、襲ってくれって言ってる? は? なんなの? その顔、可愛過ぎるんだけど、色々と辛くてキレそうなんだけど、どうしてくれんの。
「め、めっちゃおこている…?」
「…ふふ、そう見える?」
「み、見える」
「うん、当たり」
「ひ、ひぇっ…なんでそんな怒ってるの〜っ! 頼ってるのに、わたしなりに精市には頼ってるのにー!!」
「…ふぅん? まぁ、今日はそれでいいよ。ただ、ちょっとお仕置きはするけどね」
俺を見上げながら必死に訴えている璃亜が可愛くて、なんかもうただただ構いたい。もっと困らせたいし、もっと苛めたくなっちゃう。
前よりは意識してくれてるみたいで、ただ照れてるだけじゃないみたいで更に可愛い。目を合わせるのも、俺を窺うようにチラチラと少しだけ合わせるだけだし。
そして何より隙だらけで笑っちゃうよね。意識してくれてるのは有り難いし嬉しいけど、本当に無防備なんだよね。
まさにこことか。
「っ、えっ…ぴゃっ!! せ、せ精市さん!? な、なななんですか!!」
「いや、無防備だなぁって」
「この状態でどうしろと!?」
「じゃあ、こっちおいで。はい、これなら視線は璃亜が上になるよ」
「ひ、ひえー! ち、違う違う違う! そういう意味じゃなくて! ち、ちちち近いです! 精市さん!!」
俺に触られた首筋を押さえながら、顔を赤くして必死にやめてくれと訴える璃亜に更に加虐心を刺激されてしまった。
その結果、さっきまでは横にいた璃亜を無理矢理抱き締めてる感じだったんだけど、勢いで璃亜を俺の上に乗せたはいいけど、これは大問題だ。
思ってたより刺激が強くて俺は、少し後悔している。
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