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まぁ、なんとなく相手は仁王だろうなって思った。

普通に考えて、昨日の璃亜の様子を1番近くで見てたのは仁王だし。夜に躊躇なく璃亜の部屋に来るのも、仁王くらいしかいないだろうからね。

表立って行動しないところが実に仁王らしくて、厭らしいよね。その点、丸井や赤也は分かりやすいていいんだけどね。見ててイラッとはするけど、焦りはしないみたいな。



「それで仁王とは何を話したの?」

「えっ、ただ無駄な事考えるなみたいな? どうせ考えて変わるもんでもないだろ? みたいな」

「ふぅん、なるほどね。璃亜は、無駄にネガティブだしね。まぁ、俺は璃亜の気持ちもわかるけどね」

「で、でしょ!?」

「病気とか怪我だと余計にね。だから、今度からは俺に話してよ。ちゃんと聞くから」

「えっ…う、うん。ど、努力します…」

「それ絶対に話さないでしょ」



あっさりと相手が仁王だと認める璃亜に呆れる様な、感心する様な…複雑な気持ちだけど、璃亜からしたら仁王が特別だから〜とかではないみたいなので、少しだけ安心した。

下手に違うとか仁王じゃないとか変に誤魔化されたらちょっとアレだったけど、どうやら璃亜的にそこまで重要でもないっぽい。

そして仁王より俺を頼って欲しいという意味で、今度からは俺に話してって言ってるのに…まるで話す気がなそうでムカつく。いや、まぁ…璃亜の性格は理解してるつもりだけどさ。もう少し甘えて欲しいというか…素直になって欲しいんだけどなぁ。

もちろん、仁王みたいに無理矢理にでも話を聞くのも有りだけど…やっぱり、璃亜からってのが大切っていうか。



「俺には話し難い?」

「そ、そんな事ないよ! ただ、ちょっと恥ずかしいというか…今更照れるというか…」

「本当に今更だね。それでも俺は、璃亜から話して欲しいし頼って貰いたいんだけど」

「既に頼りきっとるがな!」

「そういう事じゃなくて…あぁ、もうっ…本当にバカ」

「っ、…ぬわっち!?」

「多分、璃亜は俺から問い詰めればなんだかんだで話してくれるだろう? そうじゃなくて、璃亜から俺を頼って欲しいの。意味わかるよね?」



璃亜がバカなのは知ってるし、色んな意味で鈍いのも嫌って程…理解してる。

だから、璃亜にはハッキリ言わなきゃ伝わらない…そうなると、こっちも恥ずかしい訳で…恥ずかしさを誤魔化す為に、相変わらず無防備にぽけ〜っとしていた璃亜を抱き締めれば、なんとも可愛くない悲鳴をあげた。

俺だってスマートに璃亜を助けてやりたいし、カッコ付けたいのに…どうにも上手くいかないのは、璃亜が鈍いを通り越してバカなのと変に卑屈なせいだと思う。

もうね、お願いだから察してよって感じ。


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