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無事に上着を羽織り、璃亜の為にカイロやらマフラーまで持って来た。璃亜は、そこまで寒くないとか言っとったが、カイロを渡してマフラーを巻いてやった。

そして適当にぶらぶらと合宿場の中を歩きながら、軽く空を眺める。適当に座ってもいいんじゃが、もう少し歩いてからでいいと璃亜が言ったんでそのまま歩いちょる。



「はー、星が綺麗だなぁ。こんだけ星が見えるって事は、明日もまた晴れるんだろうなー」

「ほれ、そんな真上を見ちょると転ぶぜよ。それでもなく璃亜は、無駄に転ぶんじゃから」

「うわぁ、引っ張るな引っ張るな」

「お前さんは急にいなくなったりするんじゃから、大人しく手を引かれちょれ」

「速い速い、全然星が見えない! ブレッブレのガックガクで、全然見えないがな!!」



いや、じゃから…ベンチに座るかって聞いたじゃろうに。仕方なく、璃亜の手を引きながら出来る限りゆっくりと歩く。そもそも、上を向きながら歩く事がおかしいんじゃがな。

それでも璃亜は、星を見たい様で俺に手を引かれながら、ほえー…なんてアホっぽい声を出しながら夜空を見上げていた。

そしてそれなりに歩いたので、璃亜にベンチに座る様に言ってから、飲み物を買いに行った。

いつだか璃亜が好きだと言っていたココアを買って戻って来ると、璃亜はボーッと星空を眺めていた。



「ほれ、飲みんしゃい」

「ん、ありがとー」

「なんじゃ、また何か考えとるんか?」

「いや? ただ、わたしって本当に色んな人に支えられてるし、助けられてるなぁーって思って。嬉しいし感謝してるけど、わたしは何も返せてないよなぁ…みたいな?」

「そんな事ないじゃろ。お前さんだって、色んな人を支えとるし、助けとるぜよ。少なくとも俺は、お前さんに感謝しとるよ」



やはりまだ情緒が不安定な様で、また訳のわからん事を言い出した璃亜の頭を軽く撫でる。本当に璃亜は、自分を過小評価し過ぎじゃな。

正直、まだ璃亜と付き合いは長くはないが…それでも璃亜には色々と助けられとる。もちろん、それは俺だけじゃないじゃろうし。少なくとも立海テニス部は、璃亜のお蔭で良い方向へと向かったと思っちょる。

なかなか、面と向かって礼を言う機会もなかった訳じゃし…別に嘘じゃないんでな、この機会に言ってみたが…普通に恥ずかしいんじゃが。

せめてもの救いは、今が夜で俺の表情が璃亜に見えない事じゃな。

いや、なんで璃亜を元気付けようとして、俺がこんな事になっちょるんだ。おかしいぜよ。



(…え、もしかして熱ある?)
(失礼過ぎるじゃろ)
(え、いや、だって…)
(2度と言ってやらん)
(う、嘘じゃん! いや、嘘じゃないけど!)
(………)
(拗ねないでよ! ごめんて!!)
(別に拗ねてなんてないぜよ)
(普通に嬉しかったけど、ビックリしたっていうか)
(事実を言っただけなんじゃが?)
(お、おう…ありがとう?)
(ん、どういたしまして)

※なんかイチャイチャしてる
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