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もちろん、前に比べたら物凄く出来る事は増えたし、全然楽しく過ごせてるよ。
だけど、やっぱり自分が思う様に体が動かないのはかなり辛いし、苦しい。ましてや、今日出来ていた事が明日には出来なくなるかもって考えると酷く怖いし、悲しい。
「今日は今日。明日は明日じゃ。誰にだって不調の時はあるじゃろ? それがいつになるかなんて、誰にもわからん」
「随分と簡単に言ってくれんじゃん」
「お前さんの場合は、難しく考えたって無駄じゃろ。だったら、わざわざ嫌な事を想像せずに今日は楽しかった! でええじゃろ。明日の事は、明日にならんとわからんのじゃから」
「クッソムカつく」
「心外じゃ」
確かに、仁王が言う通りで…いくらわたしが明日の心配をしたところで、どうなるかなんてわからないし。こんな風に不安になるだけ無駄なんだよなぁ。
だけど、ムカつく。
……そうだよなぁ。
ここでまたわたしがネガティブになっても、良い事はまるでない。むしろ、メンタル的にかなり悪い方向に行くよね。
癪だが、仁王が言う通りに今日は今日で明日は明日なんだよなぁ。今日は風もなくて暖かったけど、明日は風は強いし冷たいかもしれないもんね。
うん、確かにそんなもん考えたってどうにもならんしな。
「なんか落ち着いてきたら笑えてきた」
「お前さんの情緒不安定さには慣れちょるが、さすがに急に笑い出すのは怖いんじゃが」
「失礼だな!」
「まぁ、だからって不安なのに無理に明るく振る舞う必要はない。ただ、不安なら不安だって言う様にしんしゃい」
「また無茶な事言うじゃん」
「無茶でもそうしんしゃい。なんでもかんでも溜め込むんは、ダメだって毎回言っとるじゃろうが」
流石に前よりは、素直に色々と言える様になったと思うんだけどなぁ。まぁ、まだ抵抗はかなりあるし、なんとなく大丈夫だからいいやって思う事は多いんだけどさ。
ていうか、仁王はそれすらさせてくれないじゃねぇか! 今がまさにそうじゃんね! 勘が鋭いというか、察するのが上手いというか。まぁ、それは早苗も同じなんだけどさ。でもやっぱり、早苗は察しててもそっとしてといてくれる時も多いから…また違うんだけどね。
でも、まぁ…こうして心配されるのは嫌だからね。出来るかどうかはとりあえずは置いておいて、努力はしよう。
「おーけーおーけー、頑張る頑張る」
「いや、別に頑張る必要はないんじゃがな」
「そこは空気読んで頑張れって言っとけや!」
「読む必要のない空気は読まん主義でな」
「どんな主義だ」
空気を読まない仁王をジーっと睨むように見つめると、何故か呆れた様に笑われた挙げ句、頭をポンポンと軽く撫でられた。
こいつ絶対にバカにしてやがる。
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