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璃亜とブンちゃんが前より仲良く(?)なったみたいで安心した。と言うか、ブンちゃんに無駄に絡まれなくて済むのは有り難いからの。
その代わりと言っちゃおかしいんじゃが、俺は璃亜と話す機会が減った。
まぁ、お互いに話し掛けないのもあるんじゃが。
「あ、雅治〜っ!」
「…………」
「これからサボり?なら私も一緒にサボりたいなぁ〜?」
そんな事をボーッと考えながら廊下を歩いていたらいつの間にかいた、目の前の女に腕に絡み付かれる。
ホントに懲りん奴等じゃ。
バッチリメイクされた顔に上目遣い。酔いそうなくらい甘い香水の匂い。
全てが気持ち悪い。
「一緒にサボってなにするつもりじゃ?」
「えぇ〜?それ聞くのぉ?もーう、わかってるくせにぃっ!」
「さて、なんの事かわからんのぅ」
「もーうっ!私どこでもいいから雅治が決めてぇ?」
……面倒臭い。
じゃが、断るのも面倒臭い。
こやつ等の相手をするのが面倒臭い。そんな俺の気も知らんで上目遣いで必死に媚びを売る目の前の女にヘドが出そうじゃ。
璃亜が俺等と話してるだけで責めるくせに、こやつは責められる事はないんじゃろうな。ファンクラブに入ってるってだけで。
そんな事を考えているとふわりと覚えのある匂いに顔を上げると凄い勢いで璃亜が廊下を走っていた。
…あやつ、何しとるんじゃ。
「あーっ!璃亜じゃん!ちょい待ちちょい待ち!!!」
「お?おぉ!!那由じゃん!うわ、なんか凄い久し振りな気がするな!」
「璃亜とクラス違うからなぁ。お前いなくてつまんねぇのなんの」
「こいつ璃亜がいねぇって毎日うっせぇのよ。だからたまには、遊びに来いよ」
「いやん、康ちゃん!相変わらず、那由のお守りしてんのね」
急に呼び止められた璃亜は、ゆっくりと立ち止まり教室から出て来た奴と楽しそうに話していた。
確か、あいつ等は佐々木那由太(ささき なゆた)と雨音康樹(あまねこうき)だったかの?
幸村、真田と同じA組の奴じゃったはず。
あの雰囲気を見る限りかなり仲が良いようじゃな。璃亜が佐々木の頭をワシャワシャと撫でているのを見てそう判断した。
「那由ったらあたしの事、好き過ぎでしょ。だから彼女出来ないんだよ」
「うっせぇよ!俺の彼女は、ギターなんだよ!」
「…康ちゃん、可哀想だから女紹介してやりなよ」
「え、面倒臭いからやだよ」
そんな会話をしている璃亜を見るのに夢中になってた俺に腕に絡み付いてる女が不機嫌そうに早く行こう。と強引に俺をその場から連れ去った。
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