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食堂に着き、既に集まっていた立海のメンバーの元へ向かうと幸村が不安そうな顔をしながら、俺を見つめた。

まぁ、幸村にはちょっと璃亜が気になるから様子を見てくると連絡しとったからのぅ。それに氷室先生と一緒に来た訳じゃし。



「…仁王、璃亜は大丈夫なのかい?」

「詳しくはわからんが、一応は大丈夫らしいぜよ」

「でもみんなを集めたって事は、なんかあったんだろぃ?」

「早苗も戻って来ないところを見ると、楠木に付いているんだろう?」

「とりあえず、氷室先生の説明を聞かんと俺にもよくわからんぜよ」



そして氷室先生がコーチ達と軽く会話を交わすと、すぐにマイクを持って璃亜について話を始めた。

誰もが黙ってただただ氷室先生の話に耳を傾け、最後に羽川が言っていた通りに "目を覚ましたらいつも通りに接してあげて下さいね" という言葉を最後に俺達に笑顔を向けた。

簡単に言えば、突発性の深い睡眠状態との事。原因は特にわかってはいないが、悪い状態ではなく。体を正常化する為に強制リセットしている状態なので、むしろ目が覚めれば前より元気らしい。

つまり、あの状態の眠りは璃亜の病気が善くなる為には必要な物らしい。



「うむ…つまり悪化ではなく、むしろ快復に向かってるという事か」

「そうみたいだね。正直、この合宿でもかなり無理をさせてたから…悪化したのかと思ったよ」

「…しかし、何故こんな急に。もちろん、璃亜さんの病気が快復に向かっているのは喜ばしい事ですが」

「そんなん気にしなくていいんじゃね? 璃亜が元気になるなら理由とかどうでもいいだろぃ」

「そうッスよ! ちょっとでも璃亜先輩の病気がよくなったんなら嬉しいじゃないッスか!」



まぁ、ブンちゃんと赤也が言う通り理由はとにかく…悪化しとらんどころか、快復に向かっとるなら気にせんでもええじゃろ。

ちなみに璃亜にはただ寝ていたという感覚なので、熟睡していたという自覚はないらしいんじゃが、まぁ別に問題はないじゃろう。それに目を覚ましたら、いつも通りらしいしの。

羽川が意味有り気に "いつも通りに接してあげて欲しい" だなんて言うもんじゃから、何かよくない事かと思ったじゃろうに。



「で、最低でも夜までは起きないんだよな? そこまで寝てたら、ちょっと心配になるよな」

「だからこうして、我々に話をしたのだろう。璃亜が起きて来ないとなると、誰かしら璃亜を無理矢理起こし兼ねんからな」

「そうだね。それにジャッカルが言う通り、心配で璃亜の様子を見に行く人が睡眠の邪魔しちゃうだろうからね」

「ま、心配する必要がねぇって言ってんだから今はグースカたっぷり寝ててもらって、璃亜の様子は羽川に任せとけば大丈夫だろぃ」

「うむ、それがいいだろう。何か手伝いが必要なら早苗も言ってくるだろうからな」



とりあえず、他の学校の連中も少し動揺はあったものの、璃亜が無事だとわかりすぐに安堵の表情を浮かべていた。

特に氷帝の連中は、俺達と同じくらいに璃亜の病気を気にしとったから、快復に向かってる証だという事で嬉しそうな顔をしていた。

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