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…そういえば、楠木さんも名前で呼んでいる方と名字で呼んでいる方がいますが…私も名字で呼ばれている方ですね。



「楠木さんも私を名字で呼んでいますよね」

「え、まぁ、そうだね。さすがに勝手に呼び捨てとかはなぁ〜みたいな? それに大体は、名前で呼べって言われたってのもあるしね」

「なるほど。でしたら、私も名前で構いませんよ?」

「えっ! 別にそういう意味で言った訳じゃなかったんだけど! そして名字呼びに慣れた後の名前呼びは恥ずかしいんだよ!」

「なら是非、名前呼びで」

「なんで!?」



バッと振り向き、驚いた様な顔をする楠木さんの顔はほんのりと赤い。

なるほど、本当に恥ずかしいんですね。ならば、余計に名前で呼んで貰いたくなるじゃないですか。それに楠木さんには是非、名前で呼ばれたいですし。

そしてダメですかね? とダメ出しをする様に頭を傾げると、ぐぬぬっ…と聞こえて来そうな顔をして、楠木さんがゆっくりと口を開いた。



「ひ、比呂士くん?」

「…はい」

「ちょっ…恥ずかしい上に、なんで柳生くんまで照れてんの!?」

「思ってた以上に照れますね」

「だから言ったじゃん! ちなみに言ったわたしの方が恥ずかしいからね!?」

「ならば、私も名前で呼ばせていただきますね…璃亜さん」

「……ぎゃー!! なにこれ恥ずかしい! 照れる!!」



何故か、私の名前で呼んだ時よりも顔を赤くして照れ始める璃亜さんにちょっとだけ笑ってしまう。

確かに、私も少し恥ずかしい気はしますが…それ以上に嬉しい気持ちの方が上なので大丈夫なんですけどね。

それに名前呼びになっただけで、なんだから距離が縮まった気がしますし。とても、嬉しいですね。



「璃亜さんは、名前呼びは嫌ですか?」

「い、いや…嫌とかじゃなくて! むしろ、嬉しいけど!!」

「ならよかったです」

「なんか柳生くんズルいんだけど!」

「おや、名前で呼んで下さらないんですか?」

「ひ、比呂士くん…が、頑張って慣れます」

「はい。私も慣れますね、璃亜さん」

「やっぱり、ひ、比呂士くんってたまに意地悪だよね」

「ふふ、何を今更」



そして耳まで真っ赤にさせて、必死に私の名前を連呼して慣れようとしている璃亜さんに癒されながら、コートへと戻った。

そしてコートに戻るなり大石くんと桃城くんが頭を下げて再度謝って下さり、すぐに無事を伝えました。ボーッとしていた私も悪かったですし。

その後は、璃亜さんと残りのメニューを一緒に済ませました。もちろん、璃亜さんに無理はさせられないので、ちょっとしたお手伝いをしていただいたんですが、とても有意義な時間でした。



※夕飯時(璃亜は離席中)
(なんで名前呼びになってんだよぃ)
(さて、なんででしょう?)
(つまり仲良くなったんだな!)
(ちょっと真田は黙ってて)
(遂に名前呼びされてないのは、仁王だけか)
(いや、そういう参謀もじゃろ)
(普通、俺の事は除外するだろう)
(まぁ、仁王は無理だろぃ)
(それは確かに無理そうッスよね)
(なんでじゃ、おかしいじゃろ)
(で、なにがあったの?)
(いえ、特に何もないですよ?)
(この嘘付き似非紳士め)

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