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私の顔を両手で優しく包むと、真剣な顔でそんな事を言う。
やはり、楠木さんは狡いです。
「だから、ね? そんな顔しないで」
「楠木さんだけですよ、そんな事を言うのは」
「あたしだけじゃ不満かもしれないけど、柳生くんはもっと自信持っていいと思うよ!!」
「いえ…楠木さんがそう言って下さるだけで、満足です」
「ていうか、眼鏡オフの方が普通にイケメンなんだよなぁ…」
「えっ!?」
ジーっと私を見上げながら見つめて来る楠木さんに、思わず目を反らしてしまう。
前にも似たような事がありましたが、今回は少し戸惑ってしまう。いくら、気にしてない楠木さんの前でも…やはり慣れていないせいか、少し不安になってしまう。
いつから、こんなに気弱になってしまったのか。楠木さんは、あの時と変わらず…こうして私に笑顔を向けてくれているというのに。
というか、眼鏡を掛けていない方がイケメンとは一体…。目付きが悪いのには、変わりはないはずなんですが。
「えっ! 自覚ないの!?」
「自覚もなにも…私は、目付きが悪いですから。それに素顔を見せてませんし、言われた事もないですよ」
「・・・なるほど。なら、あたしだけが柳生くんの素顔がイケメンなのを知ってるのか!」
「私の素顔を知ってる数少ない人なのは、確かですが…」
「なにそれラッキー。うん、あたしだけの秘密にしておこう!! ていうか、素顔バレたら今以上にキャーキャー言われると思うし!」
・・・なんというか、相変わらず楠木さんは予想の斜め上を行きますね。
ニコニコと笑いながら"みんなにも秘密だから、タオルで隠して隠して!"と私の頭にタオルを掛ける楠木さんに何も言えなくなる。
本当に嬉しそうですね。
私の素顔を知っているだけで、こんなに喜ぶのも楠木さんくらいでしょう。
仁王くんも私の素顔を知ってますが、なんというか…お互いに目付きが悪い事だけ把握しているというか…。
「よーし、じゃあ柳生くんの素顔がイケメンだとバレる前に部屋に行こう!!」
「ふふ、ほとんど男子ですけどね」
「いやいや、男子とか関係ないじゃん? 特に乾くん辺りにバレたらヤバそう」
「あぁ…なるほど」
「まぁ、さすがに個人情報だから晒したりはしないだろうけど。いや、なんか知らない内にあたしの写真とか出回ってるからわからないや、怖いね!」
「それは主に仁王くんや切原くんが原因かと」
「あたしの個人情報駄々漏れ過ぎて笑うよね! あいつ等、マジ自重して」
はぁ…と溜め息を吐きながらも、決して嫌な顔をしない楠木さんに少し頬が緩む。
やはり、なんだかんだいって…楠木さんは優しい方ですね。本当ならもっと怒ってもいいはずなんですが。
ですが、私もたまに写真を貰ってる身なので強くは言えませんが。
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