230*素顔は秘密 (1/4)
気付くのが遅れた。
柳生くんの後ろにいたし、周りを見てなかったから…咄嗟に柳生くんを助ける事が出来なかった。
その結果、ボールが柳生くんに直撃した。
しかも、柳生くんが必死に探している眼鏡は見るも無惨に壊れてた。
そこで柳生くんが目を見られるを避けている事を思い出して、必死に柳生くんを心配する大石くんと桃城くんを近付けさせない様にした。
そして二人を納得させてから、壊れた眼鏡が回収して柳生くんを連れて、人目の付かない場所まで来たんだけど。
「柳生くん…大丈夫?」
「…はい」
「一応、タオルは被っててね。ちょっと顔触るね」
「すみません」
「ここ、痛い? それと目はちゃんと見えてる?」
「はい、大丈夫です。特に頭も痛くないですし…目も痛んだりしてません」
とりあえず、目に眼鏡の破片とかは入ってないみたいでよかった。ボールがぶつかったところも少し赤くなってるけど、骨とかに異常は無さそうだし。
だけど、柳生くんは眼鏡がないと困る訳で…部屋まで戻るしかないかな。さすがに予備を持ってるよね? いや、どうなんだろう。あんまり聞かないかな? 眼鏡の予備って。
「眼鏡の予備とかある?」
「え、えぇ…部屋に行けば眼鏡は大丈夫です」
「ならよかった。じゃあ部屋まで一緒に行こっか」
おぉ、よかった。
さすがに予備がないってなったら、眼鏡を作りに行かなくちゃだったからマジでよかった。
そして部屋まで一緒に行く為に柳生くんに近付くと、パッと柳生くんが顔を上げた。
んー…不安そうな顔してる。
いや、怖がってる感じかな?
やっぱり、眼鏡がないと色々と不安だし怖いんだろうなぁ。自ら隠してるくらいだもんね。
「楠木さん」
「ん?」
「い、いえ…なんでもありません」
「……。柳生くん!!」
「っ! は、はい」
「大丈夫だよ。柳生くんは柳生くんで、その目も含めてあたしは好きだから!」
見た目なんて関係ない。
柳生くんは柳生くんだし、何より目付きが悪かろうがあたしはそこを含めて好きだし。
ていうか、目付きが悪いからなんだってんだ。ましてや、柳生くんは紳士的に振る舞っとるやぞ。なのに怖いとか意味わからん。
お前は柳生くんの何を見てたんだよって話である。そもそも、紳士的に振る舞うってかなり大変なんだぞ? 広い心がなきゃ、まず出来ないからね。
まぁ、つまりはあたしは別に柳生くんを怖いとか思わないし。むしろ、目を合わせて話せるから嬉しいけどね!!
前にも言ったけど!!!
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