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璃亜は、悩んでいた。
丸井達を応援するか、向日達を応援するのかを。
それにあからさまに丸井の様子がおかしい事に気付いていた璃亜は、なるべく丸井を見ない様にしていた。
しかし試合が始まると丸井の雰囲気が一変する。
うわぁ…凄い集中力。
てか、前にも試合見た気がするけどまともに見てなかったせいで余計に丸井に目が行く。
いつものやかましい丸井とは、別人の様でなんだか不思議な気持ちになった。
それに前の試合の時は俺を応援しろしろってうるさかったのに今日は、静かだ。
決め台詞は相変わらずだけど決してあたしを意識してる様子はなくがっくんに向けてピースしてるし。
…ハハッ、良い顔してるじゃん。ホントにちゃんと見てなかったんだなぁ、あたし。
「頑張れ、丸井ー。ジャッカルくんもー!」
「おいっー!?まさかのそっち応援すんのかよ!くそくそっ!」
「おう、頑張るぜ」
「……あったり前だろぃ!俺様の天才的妙技見せてやるからちゃんと見とけよぃ!璃亜!」
あ、やっぱり丸井は丸井だった。さっきとは、またガラリと雰囲気は変わったものの集中力はさすがレギュラーと言ったところだ。
ポイントを取る度にあたしにピースを向ける丸井は、ホントに楽しそうだ。
てか、今更だけどテニスって試合中にガム食べて良いの?いや、むしろ練習中もだけどさ。
「璃亜ー!見てたか?俺様の天才的妙技…」
「はいはい、綱渡りね。見てたから早く構えなさい」
「わかってらい!」
「丸井のやつ急に調子よくなりやがって!くそくそっ!」
「そやなぁ…多分、お嬢ちゃんに応援されてからやんなぁ。全く現金なやっちゃ」
まぁ、嬉しそうにピースをする丸井を見てるとこっちまで嬉しくなるのは、やっぱり幸村くんのお陰かな。
まだ羨ましいとは思うけど、別に妬んだりはしてない。ただ、あたしも早くテニスしたいなぁ〜って思うくらいだ。
あれだ、みんなだってなんの苦労もなくずっとテニスをしてた訳じゃないし。きっと色々な事があったはずだ。
それがあたしは、病気ってだけ。
「璃亜ー!勝ったぜぃ!」
「くそくそっ!」
「うん、お疲れ。あ、ジャッカルくんも相変わらずイケメンだったよ!」
「お、おう。サンキュ」
「お嬢ちゃんえらい贔屓やな」
「失礼な!ちゃんとみんな見てたし!悔しいけどみんなかっこよかったよ」
「なっ!?ジャ、ジャッカルっ!今の聞いたかよぃ!?璃亜が俺の事かっこいいって!」
いや、みんなって言ったじゃん?まぁ、別にいいけどさ。て言うか、あなた達はそんなの言われ慣れてるでしょーよ。
そして嬉しそうにジャッカルに絡んでいる丸井、悔しそうなのに何故か嬉しそうな向日を無視して璃亜は、隣の日吉と切原の試合を見始めた。
(切原くん頑張れー!)
(は、はいッス!)
(生意気なわかちゃんをやっつけろー!)
(どんな応援ですか、それ)
(反抗期のわかちゃんは応援しません!)
(反抗期じゃありませんよ)
(楠木先輩、見てて下さいッスね!)
(おん、ちゃんと見てるよー!)
(赤也の集中力が上がったな)
(…お嬢ちゃんの応援なんやねん)
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