225*役に立たない相談室(1/4)
今、あたしはリョーマくんに指定された屋上に来ています。うーん、やっぱり昼間に比べると寒いかな。
しかし、あたしの部屋だと誰かが来そうだからと言われ、否定出来ないので屋上になりました。
リョーマくんの部屋は、相部屋だから他に人もいるだろうしね。
そしてボケーっと星空を眺めていると屋上のドアが開く音がして、そっちを向くとすまなそうな顔をしたリョーマがいました。
「遅れてすんません。不二先輩に捕まってました」
「大丈夫大丈夫、あたしも今さっき来たところだから」
「寒くないッスか?」
「ちょっとね。だけど、大丈夫だよ」
「そっスよね。中入ります?」
「ん〜、いいよ。リョーマくんは、人目に付きたくないんでしょ?」
「そうッスけど、これで璃亜の体調が悪くなったりしたら困る」
「このくらいなら大丈夫だって。ちゃんと厚着して来たし」
寒くないって言ったら嘘になるけど、本当にちょっと寒いだけだからね。さすがにヤバい寒さなら自分で言うし。
とりあえず、すまなそうな顔をしているリョーマくんに手招きをすると少し頭を傾げながらも、こっちに来てくれた。
うーん、お風呂上がりなのかな?微かに湿っている髪の毛が気になり、ソッと毛先に触れるとやっぱり水を含んでいた。
「こら、ちゃんと乾かさないと湯冷めするでしょ」
「このくらい大丈夫ッス」
「もーう。ほら、これ貸してあげるから」
「いや…いいッスよ」
「いいから、首とか肩を冷やすのよくないんだよ。髪の毛で冷えちゃうでしょ」
「璃亜さんって自分の事は適当なクセに、他の人の事になると心配性ッスよね」
いや、そんなつもりはないんだけどなぁ。あたしの貸したマフラーに顔を埋めながら、リョーマくんがあたしを見つめてくる。
とりあえず、リョーマくんがわざわざ2人で話したい事があるっていうくらいだから、それなりに大事な話だろうし、ちゃんと聞かなきゃだな。
まぁ、あたしに話したい事となると…テニスの事だとは思うんだけどね。
「それで話ってなんだね?」
「えっ、いや、えーと…璃亜さんって今まで彼氏とかいた事ないんだよね?」
「・・・・・」
「え、なにその顔」
「まぁ、確かに…ないけどさ。それがなんだね?」
「って事は、好きな人とかもいた事もないって事だよね」
「うん、まぁ…そうなるのかな」
リョーマくんからのまさかの質問に戸惑いつつ、素直に答える。ていうか、別に嘘付く理由ないし。
だが、この質問をする為にわざわざあたしを呼んだのかと考えたら、リョーマくんがよくわからなくなりました。
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