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じゅさを連れてあたしの部屋に着いて、とりあえず鍵を閉めてからじゅさをソファーに座らせた。

このタイミングで、誰かがノックからのノンストップでドアを開けたら色々と面倒臭いからね!いい加減に学んだぜ!



「ほら、早く包帯を取りたまえ!どうせ、まともに手当てしてないんだろ」

「・・・・・」

「面倒臭いな!もう全部、あたしがやるからそこに大人しく座ってろ!」

「・・・聞かんの?」

「あー?別に聞かなくてもなんとなくわかるし。っと、これと…替えの包帯あったかなぁ」



がさごそと救急箱を漁りながら適当に返事をする。

そもそも、様子がおかしくなったのは修二さんと試合してからだし。その後に姿が見えなくて、いざ会ったら怪我してて、その理由が練習だって聞いたら、バカでもわかるわ。

どうせ、1人で無茶な練習してたんでしょ。しかも、今の今まで。だから、あたしのウインドブレイカーを羽織ってたんでしょ。

本当にバカだな、こいつ。

とりあえず、手当てに必要な物を最低限だけ持ってソファーに戻る。



「ほら、腕出して」

「・・・ん」

「・・・バカでしょ。どんな練習してたらこうなる訳?」

「・・・まぁ、色々?」

「修二さんと何かあったの?」

「ん、そげな事ないで。むしろ、修さんには感謝しとるもん」



ふーん。つまり、修二さんと何かあった訳じゃないけど、あの試合は何かしら関係してるって訳か。

とりあえず、怪我の具合はなかなかに酷い。両手共に豆が潰れて血が滲んでるし。手首から肘に掛けては、打ち身の様な痣が数ヶ所ある。擦り傷と切り傷もそれなりに見えるし。

一体どんな練習をすればこうなるんですかね?しかも豆に関しても、何故に両手?普通は、聞き手の右だけだろうに。



「あんな…俺、この合宿終わったら戻る事になったんよ」

「ふーん。それで落ち込んでたの?」

「落ち込んでた訳…あるわ。だって、璃亜とお別れやんか」

「そもそも、本来は合宿に参加する予定じゃなかったんでしょ?なら、最後まで合宿にいられる方が凄いと思うけど」

「そりゃそやけど…」



ていうか、修二さんと一緒にこの合宿に残ったって言ってたけど、それならどう考えても合宿が終わったら帰るのが普通でしょ。

たまたまこの合宿場に顔出して、そのまま合宿に参加出来てるだけ普通に凄い事だよね。

それがプロを目指してるとなれば余計にね。いくら、練習をしてるって言ってもコーチとしてみんなに指導してる訳だし、自分の練習時間を減らしてる事になるしね。

とりあえず、詳しく話を聞くにしてもまずは手当てをしなきゃだからね。適当に包帯巻いてただけみたいだし。

ふぅ…夕飯は、少し遅くなりそうだなぁ。



※手当て中
(いたっ!璃亜痛い!)
(うるせぇ!痛くしてんだよ!)
(なっ、どくしょい!)
(まともに手当てしないやつが悪い!)
(そやけど、優しくしてや…)
(だが断る)
(璃亜、ほんまどくしょい)
(無理な練習するからでしょ)
(んっ〜…)
(ほら、次は左手)
(・・・痛くせんでな?)
(わかったからはよしろ)

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