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ニット帽の上から頭を撫でたせいか、盛大に璃亜の髪がボサボサになった。



「ちょ、静電気がヤバいんだけど!何すんだし!!」

「ははっ、ここっちょいなぁ」

「呑気か!」

「ほんまは、璃亜に隠し事しとるん嫌やったんよ。せやから、今めっちゃ嬉しいわ」

「っ、…あ、あっそ」

「あれ?璃亜、照れとる?」

「て、照れてねぇし!てか、あたしだって理由が聞けて嬉しいわ!クソが!」



・・・ほんまに素直で可愛いやっちゃなぁ。

それに他の連中にそれなりに心は開いとるみたいやけど、素直になりきれとらんみたいやし。そう考えると、やっぱ俺はほんまに璃亜に信用されとるんやなぁ。

そんな事を思いながら、頬を赤らめながらプイッと顔を反らす璃亜の腰に手を回して体を引き寄せると、バッと璃亜が俺を見上げた。

相変わらず、ほっそいなぁ。



「な、なにっ?ち、近いんだけど…」

「なんや寒そうやなぁって。それに昔は璃亜から寒い〜ってくっ付いて来てたやん」

「そっ、それはなんて言うか…抱き枕的な…マスコット的な…」

「寒いんだめなんに冬でも中庭に来とったしなぁ。俺に会いに」

「う、うるさい!別に毛利さんに会いに行っ…」

「なぁ、ずっと気になってたんやけど…前みたいに呼んでくれんの?」



海原祭ん時に璃亜に"毛利さん"と呼ばれて正直、驚きよりもショックの方が大きかった。せやけど、璃亜には悪い事した訳やし…そんな事言える立場やなかったから黙っとった。

まぁ、それも今は関係なくなったんやけど。

まだうっすらと頬が赤い顔で俺を見上げとる璃亜に頭を傾げるとむぅ〜とジト目で睨まれた。



「だって、先輩呼びするの変じゃんか」

「先輩外せばええやんか」

「一応、年上じゃんか」

「確かに年上やけど、璃亜は俺に敬語使わへんやんか」

「使わなくていいって言ったのお前だろうに」

「せやから、別に先輩呼びやなくてええやんか」



今でこそ俺に敬語使ってへんけど、璃亜はこう見えて上下関係を気にするタイプやしなぁ。まぁ、璃亜は元から敬語が苦手やし、相手によっては結構タメ口っぽい感じになるみたいやけど。

ん〜と唸る様に悩んどる璃亜に再度呼んでくれへんの?と言うと、ゆっくりと璃亜が顔を上げた。



「…ん〜、じゅさ?」

「お、えーがいなー」

「てか、あたし色々呼んでてちょっと迷ったんだけど」

「えらい変な呼び方しとったもんなぁ」

「サブちゃん先輩は可愛いだろ」

「いや、それが一番嫌やったんやけど…。まぁ、今度からまたじゅさて呼んでな」

「ん〜じゅさ…ねぇ?正直、毛利さん呼びに慣れちゃったしなぁ。もじゃもじゃは?」

「名前関係ないやんか!」

「ハハッ、確かに!」



そんな事を言いながら目を細めて笑う璃亜を思わず、抱き締めた。

もう…ほんまに璃亜が前みたいに笑ってくれるだけでこないに嬉しくなるなんて、あかんなぁ。





(なっ、ちょ、なに!?)
(璃亜やなぁって)
(はぁっ!?)
(ほんまここっちょい。璃亜は?)
(べ、別に)
(嫌がらんクセに可愛えなぁ)
(殴るぞ)
(なぁ璃亜?)
(今度はなんだよ?)
(仲直りのちゅーせん?)
(し、しぬぇよ!バカか!)
(いだっ!ちょ、殴るんはなしやて!!)

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