ずっと言いたかった事 (1/4)
※基本的に心の声は播州弁がアデューしてただの関西弁になります。
さっきから俺の腕の中で必死に涙を堪えようと下唇を噛みながら震えとる璃亜の背中を撫でる。
まさか、璃亜の方から来るとは思うてへんかった。ていうか、普通にビックリした。
・・・・・。
正直、璃亜の方が俺の事なんてどうでもええと思うとると思ってたんやけどなぁ。まぁ、それはちゃうかったみたいやけど…なら、全部話してもええんかな。
「璃亜?」
「なに」
「…璃亜に黙っていなくなった理由は、ほんまに決心が鈍りそうやったから」
「・・・・」
「そん時の璃亜は、やっと笑う様になった頃やったし。璃亜、絶対にまた荒れるやんか」
「は?」
「自分で言うのもアレやけど、俺の前だとよう笑っとったし。せやけど、璃亜は素直やないし、俺に行かんでなんて絶対言わへんやん?」
「本当に自分で言うななんだけど」
それなりに璃亜の性格は、理解してた。ていうか、璃亜は好き嫌いがハッキリしとったし…嫌いな奴がおるってわかっとるのに自ら来るような奴ちゃう。せやから、璃亜に嫌われてへんのはわかってた。
ほんで、口は悪いし態度もでかいクセに本心はなかなか言わへんし。
辛くても辛いって言わんし、泣きたくても泣かん。なんでもかんでも"別に大丈夫だし"の一言で済ませる様なアホや。
「せやから、言えへんかったんよ。璃亜、絶対に強がるやん」
「・・・・」
「素直に泣いて嫌やって言う程、可愛い性格してへんし」
「おい」
「せやけど、後で絶対に泣くやろ?せやから、黙っていなくなって…俺を嫌な奴やって、最低な奴やって思うてくれれば、泣かへんやろうなって」
まぁ、実際…泣いてへんかどうかなんてわからへんけど。
せやけど、璃亜は裏切りとか嘘とかが大嫌いやし、ショックだったとは言われたけど…泣いてへんのとちゃうかな。むしろ、怒りとショックで荒れてそうやな。
そう考えると羽川には悪い事した気がするわ。
「ムカつく…」
「他に聞きたい事は?」
「なんでテニス部って黙ってた訳?」
「それ聞くん!?」
「いや、まぁ…あたしがテニス部嫌いだったからか」
「せやね。なのにテニス部のマネージャーになっとるし」
「成り行きでな」
「なんや、めっちゃ仲良くなっとるし」
「それ関係なくね」
めっちゃ関係あるわ。
泣いたせいか真っ赤な目をしながら俺を見上げながら頭を傾げる璃亜の瞼をソッと撫でる。
いつもなら離せって暴れるのに今日は、珍しく大人しいのは少しは許してくれたって事なんやろか。
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