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そして最後のボールをカゴに投げ入れると、ゆっくりともじゃもじゃがこっちを向いた。
「それで…どないしたん?」
「文句言いに来た」
「俺に?」
「お前以外に誰がいんだよ」
「・・すまん」
「先に謝んなよ、クソが」
「ごっつーたこつーとるやん」
「怒ってねぇし」
そして何気にもじゃもじゃの言葉の意味がわかっちゃう自分に笑っちまうぜ。そういえば、最初に声掛けられた時に言われたんだっけ…。
"なぁ、なんでそないたこつーとんの?"
実際は、怒ってたんじゃなくて何もかも嫌になってて…イライラして色んなものに八つ当たりしてただけなんだけどね。
「本当に今更だなぁ…」
「なんの事や?」
「まぁ…言うつもりなかった以前に言う相手いなかったしな」
「?」
「…あたしさ、あんたがいなくなったの凄いショックだったんだよね!」
「璃亜…」
なるべく笑顔で明るく言ったつもりなのに、自然とギュッと下唇を噛んでしまった。
いっつも、ふらふら〜とあたしに会いに来てくれて毒抜きと言わんばかりにあたしの話を聞いてくれて、中庭にいけばいつもヘラヘラ笑いながらあたしを受け入れてくれた。
病気の話をした後も、過剰な心配もしないで…以前と変わらず普通に接してくれた。だからかな、正直…あたしの中では結構特別だった。
「そうだよね。実際、あたしとの関係なんて本当にただのサボり仲間だったし?」
「…璃亜」
「あんたからしたら、あたしなんてどうでもよかったんだよね」
「…ちゃう」
「だったら!なんでっ…」
「…すまん。泣かんで」
困った様にそう言いながらあたしの頭に手を置くもじゃもじゃを睨み付けるが、視界が歪んでて表情がわからない。
それにな、あたしだって泣きたくて泣いてんじゃねぇんだよ。てか、お前のせいなんだよこのもじゃもじゃ野郎。
本当は、海原祭の時にすぐにでも聞きたかったし言いたかった。だけど、前となにも変わらない態度にこいつにとってあの時の事は大した事じゃなかったんだと思えて、何も言えなかった。
それと同時に凄く悲しかった。なにも変わってないからこそ、悲しかった。
「言わなかったんちゃうで…言えなかったんや」
「・・・・・」
「璃亜に言うたら決心が鈍りそうやったから…それに俺、アホやから璃亜に行かんでくれて言うて欲しくなってまうやんか」
「っ、バッカじゃないの」
「…ん、すまん」
「離せ…このクソ野郎」
そうバカみたいな事を言いながら、あたしの頭を撫でながら無駄にデカイ体であたしを包むように優しく抱き締めてきて、離れろと体を押すが離してくれる様子はなかった。
※覗き見中のお節介組
(結局、泣いてんじゃねェか)
(酔ってた時も泣いてたから仕方ねぇし)
(璃亜、素直やないなぁ)
(それは寿三郎も同じだ)
(つーか、ニット帽とマフラー自重しろ)
(ははっ、付けてくるとは思わへんかったわ!)
(笑ってんじゃねェよ!)
(…つか、騒ぐとバレるし)
(さして問題はない)
(いや、ありまくりだし)
(つーか、なんで敵に塩送ってんだよ)
(まぁ、これでフェアになるやん?)
(修二は本気で自重しろし…)
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