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そして特に会話もないまま、越知さんの後を付いて行くが…やっぱり目的地はテニスコートだったらしい。

だけど、そのコートには誰かがいるみたいでボールを打つ音と共に微かに声が聞こえた。

とりあえず、そのまま越知さんの後を付いて行ってたんだけど…ナイターに照らされたコートにいる人物がやっと誰だかわかって思わず足を止めた。



「どうした」

「い、いや…なんであたしを呼んだんですか?」

「聞かずともわかっているはずだと思うが」

「・・・・・」

「以前から寿三郎からお前の話をよく聞かされた。その都度、酷い事をしたと…だから謝りたいと言っていた」

「越知さんは、どこまで知って…」

「どうやら種ヶ島がコートを出た様だ。後は、本人から聞くといい」



そう言うと、あたしの脇を通りスタスタと歩いて行ってしまう越知さんにどうしようかと迷っていると…修さんも片付け手伝って下さいよー!とあのもじゃもじゃの声が聞こえて、パッとコートへ視線を移すとあちらこちらに散らばったボールを拾っているもじゃもじゃが目に入った。

軽く周りを見渡すが修二さんの姿はなく、本当に片付けをせずに帰ったのだと思い…意を決してゆっくりと歩を進めた。


別に忍び足をするつもりは、なかったんだけど…緊張からなのかなんなのか自然と音を立てずに歩いていた。

そして相変わらず、1人でボール拾いをしているもじゃもじゃはブツブツと修二さんへの文句を言っているせいか、あたしに全く気付いてない。

・・・・・。

とりあえず、近くにあったボールを拾ってカゴに投げ入れてやると凄い勢いでビクリと肩を震わせて、ゆっくりと振り返った。



「っ、な…璃亜!?」

「璃亜ですけどなにか?」

「なっ…なんでこないな場所におるん?」

「いいからボール拾えよ」

「しかもそれ月光さんの上着やん!!」

「うっせ。いいから片付けしろって言ってんだよ」

「いだっ!ちょ、ボール投げんで!片付けやっとうやん!」



幽霊を見たかの様な反応にちょっとイラッとしたのでボール拾って投げ付けると、またしてもオーバーリアクションをするもじゃもじゃに呆れつつ、あたしもボール拾いを手伝った。

さすがに片付けはしないとね。ボール出しっぱなしとか黒部コーチ達にバレたら怖いからね。あの人達、有り得ないくらい厳しいからね。

まぁ、正直ボールを使ったのはあたしじゃないから免罪ですけど。万が一があるし、怖いからね。仕方ないね。

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