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困った様な顔をしてゆっくりと歩いて来る蓮二に自嘲気味に笑みを返すとフッと薄く笑うと俺の隣に座った。
「相当余裕が無い様に見えるが、嬉しそうだな」
「ふふっ、さっきまで璃亜といたからね」
「何事も、良くも悪くも楠木の影響が大きいな」
「ホント、困っちゃうよね」
「早苗から精市が毛利さんと楠木との事を聞いてきたと聞いてな。なに、気にする事はない。早苗も楠木も嘘は付いていない」
「うん、璃亜に聞いたよ。ホントは、毛利さんの嘘だってわかってたんだけど…ね」
ハァ…と溜め息を吐きながら柄にもなく膝に頭を挟むようにして踞る。何度も言うが、本当に璃亜が絡むと余裕が無くなる自分が嫌になる。
いや、相手が過去の璃亜を知っている毛利さんだからこそかもしれないけど。俺は、過去の璃亜をほとんど知らないし。
それに目の前でキスしてるところまで見せられてるし?普通に考えて、気にしない方がおかしいと思うんだよね。
「さっき思わず、勢いで好きだって言っちゃおうかと思ったよ」
「それは、精市らしくないな」
「でしょ?もう、璃亜には本当に色々と狂わされて困るよ」
「ふっ、そんなところも好きなのだろう?」
「それ。もーうっ…羽川みたいな典型的なツンデレとかな楽だったのに」
「なかなか早苗もひねくれてはいるが、楠木程予想外な行動や言動はないからな」
「ていうか、鈍い!鈍過ぎるよ!でもそんな璃亜も可愛いし、本当にどうしたらいいんだろ」
元々、変わった子だとは思ってたし、恋愛に疎いのもわかってたけど…さすがに鈍過ぎるよ。あんだけ色んな人から好意を寄せられてるのに気付かないとか…逆に驚きだよね。
前に羽川に完全に俺等は仲間ポジションで異性として見てるか怪しいのよね…なんて言ってたけど、本当にただの仲間で止まってそうで困る。
異性同士の友情は、絶対にないとは言わないけど…それ以外の方が多い事を知って欲しい。むしろ、男なんてみんな多少は下心があるって事を璃亜は、知るべき。
「なにか異性として意識するきっかけがあれば多少は変わるだろうが」
「璃亜はあり得ないくらい鈍いから、はっきり告白でもされない限り気付かないでしょ」
「そこが問題だな。それに告白をしたとしても、冗談だと勘違いする可能性が高いのも問題だ」
「しかも告白したらしたで、璃亜は悩みそうだし。やっぱり、まだじっくり攻めた方がいいのかな」
「うむ、焦ってもいい事はないだろう。それに攻めたくても攻められないのは、精市だけではないからな」
「そんなの知ってるよ。も〜う、蓮二は誰の味方な訳?」
「ふっ、誰の味方でもない。強いて言えば、早苗同様に楠木の味方だな」
そもそも、精市に味方なんて必要あるのか?と薄く笑う蓮二に言われて、そんなの必要ないよと俺も笑い返した。
ふふ、やっぱりこうやって蓮二と素直に話せる様になったのは嬉しいな。まぁ、これも璃亜のお陰なんだけど。
そして暫くして、璃亜から"ごめん、ちょっと戻れない"とメールが来て少し寂しく思ったが蓮二がいてくれたお陰か"大丈夫だよ"と普通に返事を送る事が出来た。
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