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そして暫く歩いて着いたのは、花壇があるちょっとした場所だった。それにしても、もう合宿に来て1週間経つのに相変わらずあたしの知らない場所が多くてヤバイ。
「ふふふ、そこに座ろっか」
「え、あっ…うん」
「今日は、天気が良いから花達も元気そうでよかった」
「もしかして、この花壇って精市が世話してるの?」
「ふふふ、そんなところ。でも俺だけじゃないよ」
「本当に花好きだね。あたし、見るのは好きでも世話は出来る気がしないし」
「手の掛かる子程、可愛いって言うだろ?だから、俺は花も人間も同じだと思うよ」
う、うーん?あたしは、花を育てたというか世話したのは小学生の時に種を貰った朝顔くらいである。しかも水をあげすぎて腐らせた記憶しかない。そういえば、チューリップも水あげすぎて腐らせた気がする。
あれ?あたしバカじゃね?
いや、逆にその経験をしたからこそあたしには花を世話出来ないと、見るだけになったのかも知れない。
やっぱり、花には綺麗に咲いて欲しいし。あたしみたいにダメにしちゃうなら触れちゃいけないと思うんだよね。
「ふふふ、その顔だとあんまりいい思い出がないみたいだね」
「あたしが世話するとダメにしちゃうから」
「うん、璃亜は構い過ぎてダメにしそう。水とか肥料とかいっぱいあげちゃうタイプ」
「何故バレたし」
「ふふふ、だって璃亜は心配性で世話焼きだから。過保護過ぎるんだよ」
「そんな事ないと思うけど。結構、自分勝手だし。だから、見てるだけていいんだ」
それに今は、部活で忙しくてまともに世話が出来ないだろうし。まぁ、世話をしてても腐らせましたけども。でも前と違って今度は、水くれを忘れたりして枯らさせそうだ。
そう考えるとやっぱり精市って凄いよなぁ。まぁあたしが精市程、花を好きじゃないからかもしれないけど…。
いや、見るのは好きだけど。世話してまで見たいかって言われるとやっぱり、世話はしたくないし。
「ふふふ、花は愛情を注げば綺麗な花を咲かせて恩返ししてくれるでしょ?」
「注ぎ過ぎた結果、腐らせましたけども」
「赤ちゃんにミルクをずっとあげてたら…って考えればわかるでしょ?ミルクだけあげてるのが愛情じゃないんだよ」
「む、難しい…」
「ふふふ。でも人間の場合、親から愛情を貰えるのが当たり前だと思ってる人が多いから親を嫌いだとかウザいとかいう子がいるんだよ」
「…あぁ、うん。いるね」
「やっぱり愛情を貰ったら返すのが礼儀なんじゃないかなって俺は、思うんだ。それが花は、よく伝わるから好きなんだ」
やっぱり自分の気持ちに応えてくれるのは、嬉しいだろ?と小首を傾げながら薄く笑う精市になんて言っていいのかわからず、黙ってしまった。
…な、なんだろう。
なんか今日の精市は、いつもよりピリピリしてる気がしていつもの様にふざける事が出来ない雰囲気が出ていた。
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