強化?いえ、退化です (1/4)


うぅっ…怖い。

さっきからガサガサ凄い物音するし、なんなの?脅かし役?むしろ、脅かし役でもいいから人が見たい。そしてはぐれたからって事で一緒にいて貰いたい。

そのレベルで怖い。それにこれ以上1人でいるのは普通に嫌である。


そんな事を思いながら大きな音が怖いから耳を軽く塞ぎながらビクビクと歩を進めていたのだが…


―――ガサガサッ


「ひ、ひぃっ…!」

「あ、おったわ」

「ハァ…やはりルートからかなり外れてたか」



ガサガサしてたのは知ってたけどいきなり何かが飛び出して来たら、誰だってしゃがみ込むだろ!ビックリして手が出るとか絶対にないね!あたしは、身を守るね!いや、しゃがんでたら全然守れてないけどな!

しかし、聞き覚えのある声にゆっくりと顔を上げると懐中電灯を全力で向けられて眩しい!ちょ、酷い!目が痛い!

でも…ありがとうっ!



「わ、わかちゃん!ひーちゃん!マジで本物!?」

「なんや、本物やないって言うて欲しいですか?」

「ハァ…全く何してるんですか、ルートから大きく外れて」

「ち、違うんだよ!聞いて!あたし、置いてきぼり食らっ…」

「切原から聞きました」
「切原から聞いたッスわ」

「被せんなよ!クッソ!なんか生意気コンビのせいで怖さとか吹っ飛んだわ!」



なんと現れたのは、わかちゃんとひーちゃんだった。ちなみにこの2人は、脅かし役です。まぁ、わかりきってたけどね!君達、ホラーとかむしろ好きそうだしね!仕方ないね!

そんな事を思いつつ、ほら立って下さいと手を差し出してくれたわかちゃんの手を握って立ち上がる。

いや、でも…まさかわかちゃん達があたしを探しに来てくれるとは思わなかった。てか、普通は赤也達が探しに来るよね。いや、あの調子の赤也達には無理だとは思ってたけどさ。



「…手が冷たくなってるじゃないですか。体は寒くないですか?」

「え、大丈夫。むしろ、ずっと緊張状態でいたから変に暑いくらいだよ」

「ちゅーか、どんだけ迷っとったんスか。探すんめっちゃ苦労したわ」

「いや、スタートして5分もしない内に置いてきぼり食らった挙げ句、懐中電灯もなかったから戻れなくてね。なんか、ごめん」

「…まぁ、無事ならええッスわ。ほな、戻るで」

「え、道わかんの!?」

「俺等は、璃亜さんと違うんで。それに脅かし役が迷う訳ないでしょう」



…そりゃあそうだ。

ていうか、探しに来てくれた人が帰り道知らないとかそんな事ある訳ないか。それにわかちゃんとひーちゃんは、なんだかんだでしっかりしてるし。

そんな事を思っていると緊張の糸が切れたのか、なんなのか一気に眠くなって来たでござる。

ちなみにわかちゃんとひーちゃんに手を引かれてるんだけど、なにこの囚われの宇宙人的な感じ。


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