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そして暫くするとやっかましい連中が現れる。
「璃亜ーっ!!」
「楠木先輩ーっ!!」
遠目からあたしを見付けたらしく凄い勢いで赤色と黒色がこちらに向かってくる。しかも凄くうるさいです、はい。
「おいおい、なんかイノシシみてぇな勢いで走って来てねぇか…あいつら」
「うん、がっくん助けて」
「とか言いつつ、俺を盾にしないで下さいよ。何してるんですか」
「だってがっくん小さいじゃん。隠れられないじゃん。可愛いじゃん」
「いや、まぁ、向日さんは確かに小さいですけどね。最後は、意味がわかりませんが」
いや、だってあんな勢いで来られたら誰だって逃げたくなるでしょ?しかもあのやかましい2人だし。
小さいとか言うな!と騒いでいるがっくんを軽く流しながらわかちゃんの背中に隠れていると何故かそのあたしの背中に隠れるようにジローちゃんがくっついてくる。
「やだ、ジローちゃん…可愛い」
「俺も混ぜて欲しいC〜!」
「いいよ!ジローちゃんなら歓迎する!よし、このまましゅっぱーつ!」
「いや、何処にですか!?てか、なんで俺が先頭なんですか!」
「いや、ノリで?わかちゃんごーごー!イノシシが来る前に逃げるぞ」
「くそくそ!俺も混ぜろよ!」
何故かよくわからないが電車の様にズラズラと繋がりながらイノシシ2人が来る前に逃げる事にしたあたしは、マネージャーの仕事の準備として部室にドリンク容器を取りに行くことにした。
「随分と氷帝の奴等と仲良い様だな。それに仁王と話してる時も随分と表情が柔らかくなった」
「まぁ、色々あっての」
「まぁ…璃亜は、基本的に誰とでも仲良く出来る子だから」
「しかしあれを丸井と赤也が見たら発狂しそうだな」
「あやつは、昨日からずっとあんな感じぜよ。赤也が泣き出しそうじゃ」
氷帝のお手伝い組と一緒に部室に消えていく璃亜を見送りつつ、参謀と羽川に昨日あった事を軽く話した。
もちろん、璃亜が泣いた事は言っとらん。ただ、幸村に渇を入れられて自分の病気を受け入れると決意した事などを簡単に話した。
「そんな事があったのか。なんだか、その場にいれなかったのを悔やむな」
「なんとなく璃亜の顔見てわかったけど…やっぱり仁王くんに任せて正解だったわね」
「礼なら幸村に言ってくれ。元は、あいつの考えじゃ」
そんな会話をしていると部室の方から璃亜の笑い声が聞こえて参謀と羽川が嬉しそうに笑った。
うむ。こやつら本当に付き合ってないんじゃろうか。
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