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え、えぇ…!?
あたしは、嘘は言ってない!
なのに何故か不機嫌そうな顔をして仁王が近付いて来て、思わず構えると更に眉間に皺が寄った。
どんな顔だよ!普通にこえーし!
つーか、急に黙って近付いてくんなし!
「お前さんは、本当に嘘が下手じゃな」
「なにがだし!」
「部屋に入った時は気のせいかと思ったが、違ったみたいじゃな」
「意味がわからないし!だからこっち来んっ…うわ!」
「羽川が換気したみたいじゃが、この部屋酒臭いぜよ。それにお前さんも酒臭い」
「…なっ!?」
近付いて来た仁王が急にあたしの肩を掴んだと思ったら、引き寄せられた。
…ん?えっ!?あたし酒臭いの!?いや、でもかなり飲んだし…有り得るか。てか、そんな酒臭いあたしに引き寄せんな!つか、抱き締めんな!!
グイグイと仁王の胸を押すが、離す気がないのかまるでビクともしない。
「ちょっ…離してよ!殴るぞ!」
「無理矢理飲まされたんか?」
「え?なっ、違うから!無理矢理ではない!」
「ハァ…まぁ、お前さんの冷蔵庫にも普通に酒あったしのぅ」
「せやな」
「開き直るのやめんしゃい」
いや、開き直るもなにも事実だからね。あたしん家の冷蔵庫にはお酒が常備されてるからね、仕方ないね。
ていうか、近い!むしろ、いい加減に離せや!
呆れた様に溜め息を吐きながらゆっくりと腕の力を緩めた仁王からバッと離れると、案の定呆れ顔である。
むしろ、何かを諦めたかの様な悟り顔にも見える。なんだ、どうした。
「ハァ…まぁ、酒飲むんはお前さんの好きじゃが合宿中はやめんしゃい」
「そこは反省している」
「それに会って間もない男の部屋でなんてもっての他じゃ。しかも随分と飲んだみたいじゃし」
「いや、途中から楽しくなっちゃってつい。でも暴れたりしてないから大丈夫大丈夫!ちょっと記憶が曖昧だけど」
「…お前さん本物のバカじゃろ」
「なんでや!騒ぎ起こしてないだろ!」
ハァ…と盛大な溜め息を吐きながら遂には頭を抱え出す仁王に何がなんだかである。
どんだけ呆れてんだ!
確かにいくら勧められたからって、合宿中にお酒とか飲んだりしたのは悪いけどさ!そもそもあたし、未成年だし?バレたらとんでもない事になるけど…
うわっ…そう考えるとマジであたし何やってんだ!これで合宿が中止とかになったらシャレにならないじゃないか!
…うん。
これは、あたしが悪い。合宿中は、真面目にやろう。みんなに迷惑を掛ける事は、もう絶対にしない。
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