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遠野さんに背負られてた璃亜になんとも言えへん気持ちになってて、ボーッとしとったら修さんがなんて顔しとるん?なんて笑い出した。
「つーか、お前…本当になんも言わないで立海出たのかよ」
「えぇ、なんの事ッスか?」
「さっき璃亜が泣いとった理由や」
「まぁ、酔ってたんもあるだろうけど…お前が黙って立海から出たのショックだったらしいし」
「えっ…璃亜が言うてたんスか?」
「せやでぇ〜。お前、好きな女になにも言わんで置いてくるんはあかんやろ」
「せやけど、璃亜はテニス部嫌いやったし…」
「だからって黙っていなくなるんはダメだろ」
そう言いながらグラスを煽る竜次さんは、ハァ…と溜め息を吐くとグラスにお酒を注いだ。そしてお前は水な俺にはミネラルウォーターを渡してくれた。
それを修さんがつまらなそうに見ていたんやけど、まぁええわ〜と俺の背中をバシバシ叩いた。
ていうか、璃亜が…俺の話してたって事が驚きなんやけど。
「つーか、そうなると未だになんも説明してないだろ?今日は無理でもちゃんと説明しろし」
「…この合宿中には話す予定ッスけど。やっぱり怒っとりました?」
「怒っとるっちゅーか、普通にショック受けてたっぽいで?いつも元気やけどしおらしい璃亜も可愛かったわ」
「まぁ、詳しくは本人に聞けし。かなり酔ってたから覚えてるかわからねぇけど」
「璃亜…好きなヤツおるとか言うとりました?」
「さぁ?どうやっ」
「そういうのは、今はいないって言ってたし。ちなみに"今は"って事を考えろし」
「竜次〜!毛利に甘過ぎやろ。それ言うたらオモロないやんけ」
それどういう意味ッスか?と竜次さんに聞けば、後は自分で考えろしと言われた。
…全然わからん。
ちゅーか、璃亜とどんだけ深い話してたんやし。
―――
――――
―――――
*****
ん〜…ふわふわするぅ。
しかもなんかめっちゃいい匂いする。
重たい瞼をゆっくりと開けると綺麗な真っ黒な髪がゆらゆらと揺れていた。
「ん〜…遠野さんスか?」
「起きたのか?」
「めっちゃ眠いッス…」
「なら寝とけ。部屋に着いたら適当に転がしといてやらァ」
「うわぁ…風が気持ちいいッスねぇ〜」
「おい、暴れんじゃねぇ。落とすぞ」
そう言いつつ、あたしが落ちないように背負い直す遠野さんは優しい。
ん〜…なんだろう。
お酒のせいかも知れないけど、途中から遠野さんとか竜次さんには、変に気を使わなくて楽だったなぁ。ちょっと記憶が曖昧だけど。
「遠野さーん」
「あぁ?なんだよ、うっせぇなァ」
「遠野さん、見た目ひゃっはーしてて意地悪そうなのに優しくてビビった。話し方はひゃっはーしてるけど」
「マジで落とすぞ、テメェ」
「大丈夫ッス!ここに放置されても寝れる自信あります!」
「…うるせぇなァ、もう寝てろ」
…ふひひ。なんか遠野さんがめっちゃいい人で嬉しいやら楽しいやらで顔がにやけた。
だけど、もう眠気も限界で遠野さんに言われた通りゆっくりと目を瞑った。
※璃亜の部屋な前にて
(璃亜?帰って来たっ…え?遠野さん?)
(あぁ?)
(種ヶ島さんの部屋で話をしてるって聞いていたのだけれど…)
(まぁ、強ち間違ってねぇけどなァ)
(でもなんで遠野さんが…)
(他のバカ共が酔っ払っててたまたまだ)
(えっ?まさか璃亜も!?)
(その結果がこれだっつーの)
(えぇ…な、なにもされなかったですか?)
(まず俺の心配かよ)
(いえ…この子、酒癖悪いので…)
(別になんもされてねぇよ)
(な、ならいいんですけど…)
(いや、よくはねぇだろ)
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