笑顔に魅せられて (1/4)
もうやだよ。こんなのってないよ!
「お前元気ねぇな、お菓子でも忘れたのかよぃ?」
「ハナシカケナイデクダサイ」
「仕方ねぇな、後でジャッカルからポッキー貰ってきてやるよ。1本くらい分けてやるぜぃ?」
「イリマセン」
「1本とかブンちゃんケチじゃのぅ」
あたしの席の右隣に座る赤髪こと丸井ブン太。左隣に座る銀髪こと仁王雅治。
この二人は、テニス部レギュラーであり女子達の憧れである人物である。
ちなみにそれを知ったのは、つい昨日の事である。そしてファンクラブとなるものまであるそうな。
これは、早苗から聞いた。
「璃亜、次の授業行くわよ。まぬけな顔してないで準備して」
「早苗〜。席替えしてよ。あたし、こんな居心地の悪い席で勉強出来ない」
「あんたがいつ勉強したのよ。どうせしないんだからいいでしょ」
「ちょ、酷い!てか、この二人の隣が嫌なの!他の人なら大歓迎だよ、うん」
「あんなそんなでかい声でそんな事言うとか死にたいの?私知らないわよ」
だって、昨日からすげぇ視線感じるし。羨ましい羨ましいって見知らぬ女の子に言われるしでうんざりなんだよーう!
イケメンだかなんだか知らないけどあたしには、関係ないので巻き込まないでいただきたい。
銀髪は、相変わらずたまに睨まれるけど特に何もないからいいけど…。赤髪!お前、うるさすぎ!あたしに話し掛けんな!すげぇ視線が痛いんだよ!
「ヘェ、仁王俺等も行こうぜぃ」
「コナイデクダサイ」
「ミーハーじゃないフリも大変じゃな」
「え、フリなのかよ!?」
「さぁて、どうじゃろうな。女はズル賢い生き物じゃき、俺等に近付く為なら嘘くらい普通につくじゃろ」
銀髪の言葉に顔を上げるとなんとも冷たい目であたしを見るとパッと顔を反らした。
なんなの、マジで!
あんまり絡んで来ないと思ったらこれだよ!誰がミーハーじゃないフリしてるだと?ぶん殴るぞ、こら。
「自信過剰とかないわぁ。引くわぁ…みんながみんなミーハーとか思ってるとかないわぁ…引くわ」
「…ブンちゃん、行くぜよ」
「また言い逃げですか、そうですか」
「逃げるんじゃなか。下らなすぎて何も言う気になれんだけじゃ」
「あ、そう。なら一生話し掛けないで下さいね!」
「こら、璃亜いい加減にしなさい」
「仁王もやめるんだ」
ふーんっだ!早苗と柳くんが間に入るがあたしは、銀髪を睨んでいた。しかし銀髪は、そんなのお構いなしに顔を反らすとスタスタと教室から出ていく。
くそっ!なんであんな奴がモテるんだ!意味がわからないよ。てか、なんでこういう時にみんないないの!?あ、みんながいないから言ったのか。うわ、あいつ性格悪っ…。
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