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一通り部屋を調べ終わり、満足したのか花宮くんが真ん中の石碑に向かう。
ほ、本当に躊躇なく歩き回るなぁ…。だけど、わたしを置いて行ったりはしないで…わたしに歩く速度に合わせてくれてたりする。まぁ、早くしろって言われるけど。
そして石碑の前に着いて、ソッと花宮くんが石碑に触れると気味悪く文字が浮かび上がった。
「えっ…なにそれ」
「中央棟にある石碑と同じ仕組みだな。これで正解を打ち込めって事だろ」
「えぇ…わけわかんない」
「ふはっ、バカだもんな」
「そういう事じゃないよ!」
「流石に2度目はねぇとは思うが、近くにいろよ」
「…え、うん」
何が起こるかわからないので、小さく頷きながら花宮くんの制服の端っこを摘まんだ。いや、ちょっと怖いし…流石にガッツリ掴む勇気はなかったから、摘まませて貰った。
そして花宮くんが流れる様に文字に触れていく。
" じゅしろっか "
えっ、雪の結晶ってそんな名前なの? ていうか、迷いなく文字を触れているって事は間違いなくソレって確信を持ってる訳で…え、花宮くんって一体何者なの?
そんな事を思っていると天井から物音がして、物々しい階段が降りてきた。
「…か、階段? これで外に出れるって事…なのかな?」
「さぁな。ただ、お前を殺したい奴が簡単に外に出すとは思わねぇけどな」
「怖いこと言わないでよ!」
「事実だろ。だが、此処にはもうなにもねぇだろうから進むしかねぇ」
こんなところにいつまでも居たくないのは確かだけど、この怪しい階段を上がるのは怖い。だからといって、上がらない訳にもいかないので…小さく頷くしかない。
そんなわたしをチラリと見ると、花宮くんがわたしの手を握り引っ張った。
腕を掴まれて引っ張られる事は多々あったけど、手を握られるのは初めてだ。
そしていきなりの驚きと恥ずかしさで、まともに反応出来ずにいるわたしを花宮が見下す。
「後ろをちんたら歩かれるとうぜぇんだよ。それにこっちのが色々と楽なだけだ」
「…う、うん」
「死にてぇなら離すが?」
「や、やだよ!」
「ならさっさと歩け。隣にいろとまでは言わねぇがあんまり離れんな」
「うん、わかった」
花宮くんには恥ずかしさとかはない様で顔色ひとつ変えず、わたしの手を引いてスタスタと歩き出した。
だが、わたしの歩く速度が少し遅かった様で "離れんなって言わなかったか?" と怒られました。
いや…さっきまでは、それなりにわたしに合わせてくれてたのに急になんでだ。
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