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結局、噴水を止める様なものはなく…高尾くんが何度かチャレンジしてくれたんだけど、水と噴水の構造のせいで噴射口を見れずにいた。
…し、仕方ないかな。
流石にここまでして見られないなら、何もないかもしれないし。正直、ここまでビショビショになってまで頑張ってくれた高尾くんには、物凄く申し訳ないけど…滑って転んで怪我とかをしたら困るしね。
もう諦めようと高尾くんに言おうと、未だに諦めていない様子で噴射口を見上げる高尾くんの肩を叩こうとしたら、バッと高尾くんが勢いよく振り返り凄い勢いで水飛沫が飛んで来て顔が痛い。
「沢村さん、ちょっと頼みがっ…て、おわっ!!」
「…っ、え、なに?」
「あ、水飛沫すんません。えーとッスね…嫌なら全然断ってくれていいんスけど、肩車とかどうッスかね?」
「…え、」
「い、いや、嫌なら全然いいんスよ! ただ、俺だとどうしても身長が足らないし。登るにしてもちょっと脆くて危ない感じするし。で、唯一の高身長の真ちゃんはメモ持ってるし、濡れるのはよくないじゃないッスか」
確かに、高尾くんが言ってる事はごもっともだ。
高尾くんで身長が足らないのだからわたしでも無理だし、登るのは普通に危ないからやめるとなると…うん、そっかぁ。
…か、肩車かぁ。
普通に考えて、わたしが上になるんだろうけど…頑張るからわたしが下じゃダメかな。
「わ、わたしが下じゃダメかな? 頑張るから!!」
「いや、頑張っても絶対に無理ッスから! それに普通に考えて嫌ッスよ!」
「い、嫌なんだ…」
「いやいや、普通に女の子に肩車されるとか嫌ですよ! しかも自分より小柄ですし!」
「な、なるほど…うーん。わたし、別に軽くないし…むしろ重いと思うんだけど、高尾くん肩車して立てる?」
「んー、それはやってみなきゃわかんないッスね!」
…そこは、嘘でも大丈夫って言って欲しかったな。いや、まぁ…基本的に肩車なんてする機会もないだろうし、立てるかどうかなんて普通はわからないだろうけどさ。
流石に恥ずかしさはあるけど、わたしが言い出した事でここまで必死に頑張ってくれた挙げ句、絶対に高尾くんが辛いであろう肩車の提案までしてくれた訳で…断れないよなぁ。
そして意を決して、肩車をする事に頷くと高尾くんが中央の噴水棟に手を置きわたしに背を向けてしゃがんでくれた。
う、うわぁ…な、なんか物凄く勇気がいるなぁ。しかも、今更ながらわたしスカートじゃん。え、これ軽く痴女じゃない? だから、あんなに高尾くんは "嫌なら" って言ってくれたのか。
やっぱり、やめとけばよかったかもしれない。
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