イデアの箱庭 | ナノ
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くぬぅ…結局、原くんと騒いでいた事が花宮くんの耳に入ったみたいで、とびきりの笑顔で説教をされました。かなりの時間差だったから、最初は意味がわからなかったんだけど…すぐに "黒子といた時の事だ" と言われてハッとした。

そしてもちろん、原くんも一緒に怒られたけど…もうね、いつもの事だしと言わんばかりに余裕そうでした。

花宮くんに怒られてしゅんとなったものの、やっぱり大半は原くんのせいなのでわたしはちょっと拗ねている。そしてムスッとした顔をして椅子に座っていると、原くんがからかう様にわたしの頬を突っついてくる。



「ほらー、花宮が無駄に説教するから奈々ちゃんが拗ねちゃったじゃん」

「無駄じゃねぇだろしね。そもそも、悪目立ちして困るのはこいつだろうが」

「…ふーんだ、別に拗ねてませんよーだ」

「思ってたより面倒くせぇなこいつ」

「俺達に大分慣れてきたからじゃない? ビクビクしてた奈々も面白かったけど」



正直、瀬戸くんが言うようにかなり花宮くん達と過ごす事には慣れてきた。というのも、やっぱり怪我をしているという理由でなかなか部屋の外には行かないし。部屋にいれば、大体誰かいるし。自然と話す事も多くなるし、普通に馴染んでしまった。

よく霧崎の人は探索に行くんだけど、絶対に1人は誰かを残していってくれるから、わたしとしてはかなり助かってる。いくら、霧崎の部屋にいても…1人だと色々と怖いし。

そして、さっきの説教中に倉多さんにもわたしと黒子くんが接触した事が知られていると言われて、更に怖い。



「おい、いつまでもブス面してねぇで行くぞ。今日は、お前も探索だ」

「まだ怪我治ってないんだけどって顔してるね」

「えっ、いや…全然行けるけど! た、ただ…誰と探索に行くの?」

「ふはっ、誰だろうなァ?」

「俺等ではないのは間違いないな」
「まぁ、今日は5人で行くって話だったしな」
「奈々ちゃんボッチ確定」

「えっ!? わたし1人で探索するの!?」

「んな訳あるか、バァカ。いいからさっさと来い」



原くんの言葉にバッと椅子から立ち上がると、花宮くんに心底呆れたと言わんばかりの顔をされた挙げ句…軽く頭を叩かれた。

わたしが花宮くん達に慣れてきたのは勿論だけど、花宮くん達は更にわたしの扱いが雑になって来たよね。

そんな事を思いながら、素直に花宮くんの後をついて部屋を出る。やっぱり、まだ部屋を出るのはちょっと緊張する。

前の時は、みんなが寝てる時間だったし…そんなにロビーに人はいなかったけど、今は探索に行く前の時間でロビーにはそれなりに人がいて久し振りに体が強張った。


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