イデアの箱庭 | ナノ
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陽泉の人達と探索に行ってからは、特にわたしが探索に行く事もなくなって更に花宮くんと過ごす時間が増えた。

勿論、花宮くんは情報をまとめたり何かしら考えてたりするので会話は殆んどないんだけどね。

その結果、一緒に居ても暇なので平然と寝ている事が多い。まぁ、花宮くんが近くに居れば万が一はないと勝手に思ってるから、そんな事が出来るんだけどさ。

それにロビーは監視されてるらしいから、下手に起きてるよりも寝てた方がわたし的には気が楽だったりする。なので、起きている今は、会話は聞かれてない可能性が高いとはいっても…監視されていると思うとソワソワしてしまう。



「挙動不審過ぎかよ」

「し、失礼なっ!」

「おい、お前がもしあの女の立場だとして、まず最初に邪魔だと思うのは誰だ」

「えっ、いきなり…何?」

「深く考えずに答えろ」

「…最初と今じゃ状況が違うけど、今なら花宮くんや霧崎のみんなかな? いや、でも…わたしだったら余裕で花宮くん達に騙されそうだし…他の女の子かな? わたしからしたら、自分以外の女の子がいなくなればいいんだもんね?」

「へぇ…バカなりに色々と考えてんな。つーか、深く考えんなって言ったけどな」



本当に失礼極まりない。
ていうか、深く考えるなって言う方が無理な問い掛けをしないでいただきたい。

そもそも、わたしが倉多さんの立場になったら…っていうのが既に意味わかんないよね。だって、わたし花宮くん達の事を全く知らなかったし、一生一緒にいたいとか閉じ込めたいとか微塵も思ってないもん。

だから、もしもの話だとしても全然わからないよね。いくら、好きな人がいたとしても一生一緒とか閉じ込めたいとか思わないし。



「そもそも、わたしみんなの事知らなかったし…なんかもしもでも想像しにくい」

「だろうな。でも今のお前からしたら、邪魔なのは俺等って事だな?」

「んー…邪魔とは違う気がするけど。だって元から花宮くん達を嫌ってて苦手なら、最初から花宮くん達を呼ばなければいい話じゃん。なのに、呼んでるって事は花宮くん達も少なからず倉多さんに好かれてる訳でしょ?」

「…は?」

「最初は、花宮くん達を避けてるから嫌いなのかなって思ってたけど…それなら此処に呼ばないでしょ? だから、嫌いではないんじゃないかなぁ…」

「………チッ」

「いや、そんな物凄く嫌そうな顔されても…」



普通に考えて嫌いな人を呼び出して、一生一緒に居ようとはならないでしょ。

仮に何かの条件があったりとかして、仕方なく花宮くん達を呼んだとしても…なんて言うか、花宮くん達の事を知っているなら…わたしなんかよりも花宮くん達を先に消した方が色々と都合が良さそう。

自分で言うのもあれだが…わたしは本当に役に立たないし、何も出来ないクズなので…後回しにして、まずは厄介な花宮くん達をどうにかするんじゃないかな。

まぁ、倉多さんがどこまで花宮くん達の事を知っているかはわからないけど…あれだけ攻撃的な性格なので、邪魔だと思ったらすぐに動きそうだよね。


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