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しかし、やると言ってしまったので…勇気を出して "失礼します…" と高尾くんの肩に乗るとゆっくりと高尾くんが立ち上がる。
…く、くぅ、は、恥ずかしい!!
怖さよりも恥ずかしさの方が勝っているわたしは、ただただ噴水に手を付きながらゆっくりと視界が上昇するのを感じていた。
「あ、ちょっと片手だけ脚持つんで暴れないで下さいね」
「は、はいっ…」
「ぶはっ、いやそんな緊張しなくても! つーか、全然重くないじゃないッスか。こんくらい余裕なんで、気にしなくて大丈夫ッスよ」
「…ぬ、ぬぅ」
「え、なんスか!? っと、よっしょ…で、どうスか? 噴射口の皿、見えます?」
いや、思ってた10倍くらい恥ずかしくて顔が熱いよ。だって、自分の脚の間に知り合って間もない男の子の頭があるとか…普通に有り得ないでしょ。
だけど、ここまでして貰ったのに恥ずかしいとか言っている場合ではない。早く噴射口の皿を見て降ろしてもらおう。
少しだけ前のめりになる様にして噴射口の皿を掴み、中を覗く様にして確認する。
バシャバシャと顔に水が跳ねて来て、かなり目が痛いけど必死に皿を確認すると何かを見付けた。更に背伸びをするようにして手を伸ばし、皿の中にあったものを掴む。
「た、高尾くんっ…もういいよ! 鍵みたいなの取った!」
「っ、…お、おっけーッス」
「う、うわっ…ご、ごめん、頭掴んじゃった」
「……ウィッス」
…えっ、なにその反応。
そういえば、わたしが噴射口の皿を確認してる辺りからずっと静かだったよね。あ、あれっ…もしかして、本当はわたしが重くて肩が疲れちゃったとかかな。
そして高尾くんがキチンとしゃがんだのを確認して、ゆっくりと高尾くんの肩から降りる。
とりあえず、手に入れた鍵みたいなモノはポケットに入れといて…何故か、わたしが降りた後もしゃがんだままの高尾くんの肩にソッと触れる。
「ご、ごめんね…大丈夫? やっぱり重かったよね、肩とか痛めてない?」
「い、いやっ…そうじゃなくって」
「…え、じゃあどうしたの?」
「自分で提案しといてアレなんスけど…思ってたより刺激が強くて、いやっ…沢村さんは悪くないんスけど」
「あっ…う、うん…そうだよね、ごめんね…」
「よく考えたら沢村さんも全身ずぶ濡れだし、ちょっと肌の感触が生々しくて…なんかすんません!!」
っ、うぅ…は、恥ずかしい。
ていうか、普通に謝るのやめて欲しい。別に高尾くんが何か悪い事をした訳じゃないし。
ちょっとだけ赤くなった顔をした高尾くんがまた頭を下げてきて、こっちの方が申し訳なくてブンブンと頭と手を振る。
そして必死にカァッと熱くなる顔を押さえていると、頭を上げた高尾くんが "なんつーか、御馳走様ッス" と笑った。
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