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嫌な緊張でちょっと気持ち悪くなって来て、思わず隣にいた瀬戸くんの方を見ると何かを察してくれたのか、ポンポンと優しく背中を撫でてくれた。
あえて、何も言わないのが瀬戸くんらしい。
そして、いつも話し合いをしている場所へと着くと見慣れたメンバーと一緒に知らない人達がいた。んー、チラッと何度かは見た事あるけど…名前は知らないなぁ。目立つ緑色の髪で眼鏡をしている彼と、人懐っこい笑顔を浮かべている黒髪の彼。
赤司くんと仲良さそうに話してるところを見ると、1年生なのかな?
「あっ、どーもッス。沢村さんッスよね? 俺、秀徳高校1年の高尾和成でっす!」
「えっ…う、うん。××高校2年の沢村奈々です」
「急に自己紹介始めてんじゃねぇよ。先に今日の探索について説明するから黙ってろ」
「自己紹介くらい許したってや。なかなか、沢村が部屋から出て来んからみんな気になっとるやって」
「そんなの知りませんよ」
なんかいきなりウインク付きで自己紹介をされて、思わずわたしも名乗ってしまった。そしてそんなわたしに花宮くんが軽く頭を叩く。さっきから花宮くんは、わたしの頭を叩き過ぎです。しかも、理不尽です。
そして仕方なく黙っていると、花宮くんが今日の探索について説明をしだす。
へ、へぇ…そ、そうなんだ?
本当にわたし、霧崎のみんなとは別でまた探索に行くのかぁ。
そして海常の人達と一緒に探索に行った時の事を思い出し、少しだけ不安になってくる。慣れてきたのは、霧崎の人達だけで…他の人達とはあんまり関わってないからなぁ。また嫌な思いをするだけな気がする。
「めっちゃ不安そうな顔してて草。どんだけ嫌なのよ」
「だ、だって…全然関わりない人達だし。それにどうせ、また疑われるし…」
「大分、奈々も卑屈になって来たよね。まぁ、無理もないけど」
「あ、疑ってないって言ったら嘘になるッスけど、別に問い詰めたりしないんで大丈夫ッスよー」
「そもそも、別に大した探索じゃねぇしそんなに時間も掛からねぇだろ。終わったらすぐに帰ってくりゃあいい」
「わ、わかったよ」
そりゃあ、こんな場所で嫌な顔を何度もされてれば卑屈にもなるよ。それに花宮くん達と一緒にいる時間も多かったし、色々とわたしが捻くれる様になったのは仕方がないと思います。
そして、嫌なものは嫌だけど…探索を断るのはもっと嫌なので、渋々返事をした。
だって、早く此処から脱出したいし。本当なら面倒臭いって言いたいけど、そうも言ってられない。それに、わたしは中央から出ずに探索をするみたいなので比較的安全っぽいので、頑張りたいと思います。
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