イデアの箱庭 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
09*(3/4)

ロビーに戻って来ると、何やら紫髪の大きな人と前髪で片目が隠れている人が黄色の扉の前で言い合い(?)をしていた。

瀬戸くんは、あからさまに関わらなくていいと言わんばかりの顔をしているが、何故か今吉さんはニコニコと話し掛けに行く気満々である。

そして折れたのは、瀬戸くんだった。ちなみにわたしは、今吉さんに自己紹介も兼ねて一緒に行こうな? と半強制的に連れて行くかれる事になっていた。

渋々ではあるが、3人で彼等の元へ向かうと…どうやら、何かを作る作らないで揉めているらしい。黄色い扉の前なので、何かを作って食べたいのかな?



「紫原と氷室は、そないなとこでどないしたん? なんや揉めとるみたいやけど」

「あぁ、今吉さんですか。アツシがお菓子が食べたいって言い出して…俺が作ってやろうかと思ったんですが」

「絶対にやだ! 前に室ちんが作ったお菓子食べたらお腹壊したし〜!」

「前は前、今は今だよアツシ。大丈夫、俺に任せろ!」

「あぁ、やめてやめて〜! 室ちんは、何も作らないでってばぁ〜!」



何かを食べたいのは当たっていたみたいだけど、まさか料理が余り得意ではない人が作ろうとしてそれを止めていたとは…。てっきり、お腹は空かないんだから我慢しろとかの言い合いかなって思ったのに。

しかもお互い譲る気がないのか、必死だ…。

それにしても、紫の彼は物凄くでかいなぁ…。本当に巨人の様にでかくて、ちょっと怖いくらいだ。

そんな事を考えながら、口を出さずにボーッとそのやり取りを見ていたんだけど…ポンッと今吉さんに肩を叩かれてビクッと体が跳ねた。



「せや、いい機会やし沢村になんか作ってもらおか! 氷室よりは、マシかもしれんし」

「…えっ!?」

「えぇ〜…? 俺、そいつの事あんま知らないんだけど〜。そもそも、あんた料理出来んの?」

「…か、簡単なものくらい、なら?」

「曖昧だなぁ。じゃあ、お菓子とか作れんの?」

「お、お菓子…クッキーとかパンケーキくらいなら作れる、かな? 後は、レンチンで作れるプリンとか…」

「えっ!! プリン作って!!」

「うぇ、えっ、えぇ〜…」



最初はわたしを嫌そうな疑う様な目をしていたはずの彼が、プリンという言葉に子供の様に目を輝かせてわたしに詰め寄って来て困惑する。

い、いや…レンチンで作るめちゃくちゃ簡単なプリンだよ? 味とかも普通だろうし。そんなキラキラした目をされると、ちょっと困るというか…。


prev / next

[ back ]