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そして赤司くんに手当てをして貰い、部屋から出たまではいいんだけど…何処に居ればいいんだろう。
どう考えてもわたしには、居場所がない。
花宮くん達と赤司くんと今吉さんしか知らないし。だからといって、彼等のところに行く勇気もない。そもそも、名前と顔が一致している程度で仲が良い訳でもないし。
少しずつ離れていく赤司くんの背中を見つめながら、そんな事を考えていると…わたしが足を止めた事に気付いたのか、数歩先にいる赤司くんがゆっくりと振り向いた。
「沢村さんが嫌でなければ、他の者にも紹介しようかと思ったんですが」
「…いや、わざわざいいよ。なんか怖いし、それに倉多さんが凄い顔して睨んでるから…赤司くんは戻った方がいいんじゃないかな」
「あぁ、そう言えばそうでしたね。下手に彼女を刺激して、沢村さんに何かされても困りますからね」
「えーと、トイレの場所だけ教えて貰えればわたしは大丈夫だから…」
「1人で大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。何かあれば、声を掛けてくれればいいし。あっちの隅にいるね」
もうね、隣にいる黄瀬涼太が霞むくらいには倉多さんの存在感が凄い。というか、圧が凄い。
とりあえず、わたしが赤司くんと一緒にいるのが気に食わないんだろうと、先程の赤司くんへの態度でわかっているので…なるべく彼女を刺激したくないので、申し訳ないが赤司くんから離れたい。
なので、トイレの場所だけ聞いて逃げる様にロビーの隅っこへと向かった。
パッと見、さっきの部屋の他にも部屋はあるみたいで…多分、学校別だか、知り合い別みたいな感じで別れてるのかな?
花宮くんと瀬戸くんは、まだ今吉さんと話してるみたいだけど原くん達は、部屋に入っていったみたいだし。
空いてる部屋を聞いてもよかったけど、そのまま閉じ込められても嫌だし…ロビーの隅っこなら周りを見渡せるし、何かあっても大丈夫そうな気がする、多分。
そしてひんやりと冷たい床に座り、スカートを押さえつつ太股を抱えて体育座りをした。
…余り周りをキョロキョロと見るのも怪しいので、ただただ自分の靴先を見つめる。
突き刺さる視線に、正直逃げ出したくて仕方ないけど…こんな訳のわからない状態で無駄に動くのは怖い。それに、どうにもこうにもわたしは色んな人に疑われてるみたいだし…下手に動いたら何をされるかわかったもんじゃない。
……わたし、これからどうなるのかな。
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