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クスクスと口元を押さえて、控えめに笑っている赤司くんに意味がわからず、わたしは頭を傾げる。
「い、いや…すみません。今の言葉、是非とも黄瀬に聞かせてやりたいです」
「いや、さすがに言えないと言うか…まず会わないと思うけど」
「ふ、はははっ…それはどうですかね? なるほど、本当に全く興味がないんですね」
「???」
「実は、黄瀬も此処にいるんですよ。更に言えば、さっきのロビーに普通に居ましたよ?」
「へぇ………えっ!?」
「ふふ、あの花宮さんや瀬戸さんが貴女を警戒していない理由がよくわかりました」
…いや、えっ!? 本当に!?
ていうか、普通に周りを見る余裕とかがなかっただけです。しかも、サラッと花宮くんと瀬戸くんの事を "あの" とか言ってるし。
それに警戒はされてないかも知れないけど、普通に信用はされてないですよ。しかも扱いもかなり雑だし、酷いからね。
とりあえず、黄瀬涼太が此処にいる事には驚きだが…やっぱり、だからなんだって感じだ。わたしからしたら、黄瀬涼太も赤司くんも正直に言うと同じ様なもんだし。勿論、花宮くんや瀬戸くん達も同じ。わたしと一緒に此処に閉じ込められてる人ってだけで…モデルだろうがなんだろうが、関係ないよね。
「話せば話す程、不思議と沢村さんが犯人だとは思えなくなりますね」
「そう思ってくれるのは嬉しいけど、わたしはまだ赤司くんを信用してないよ。こうして手当てもしてくれたし、優しく接してくれてるけど、それがわたしからしたらちょっと怖いし」
「なるほど、それもそうですね。沢村さんからしたら俺等は、全く知らない人間ですからね」
「いや、それはわたしに対しての赤司くん達も一緒だと思うけど…」
「花宮さん達から聞きませんでしたか? 此処に俺達を閉じ込めた人物は、俺達の事をよく知っているって」
…いや、それは初耳です。
あー…、だから花宮くん達は自分達を知ってるかどうかをわたしに聞いてきたのか。勿論、わたしは知らないって答えたけどさ。
ていうか、それって完全にわたしは犯人から外れない? いや、わたしが嘘を付いていると思われてる可能性もあるけど…
「正直、わざと知らないフリをしている可能性も考えましたが…どうにも、こう…違うと言いますか。嘘が余り得意なタイプでは、無さそうなので」
「そんな事ないよ。わたしだって嘘くらい付けるよ」
「その発言が既にちょっと。それに沢村さんが見付かる前から、倉多さんには不自然な部分が多かったんですよ」
「それなら、わたしもなかなか不自然だと思うけど…手錠は掛けられてるし、赤司くん達を全く知らないし。色んな意味で、かなり場違いだよね」
「はい。だからこそ、沢村さんは白に近いんですよ。如何にも、犯人ですと言わんばかりの扱いをされてますし」
…ん、うーん。
わたしよりは、倉多さんって女の子の方が怪しいって事なんだろうけど…なんだろう。
花宮くん達のせいで優しくされればされる程、ちょっと不信感が募ると言うか…他意があるんじゃないかなぁ…とか色々と考えてしまう。
く、くそぅ…花宮くんが誰も信用するなとか言うからだ。
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