03*(2/4)
そして意を決して(わたしだけ)、中央の棟に入ると…思っていた以上に人が多くて驚いた。そして、その人達は急に現れたわたしに驚いている様子だった。
居心地の悪い視線を感じながら、なんか怖いのでうつ向き気味に花宮くん達の後を付いて行く。
「余り下を見ていると転ぶぞ」
「ま、この視線は嫌だよな」
「でも今の内に慣れときなよ」
「…辛い、です」
「俺等が奈々ちゃんを連れて来たってのもあるよねん。まぁ、俺等ってばめっちゃ人気者だから」
「…逆なんだよなぁ」
「ある意味、人気者じゃない?」
「確かに」
…マ、マイペースだ。
そしてこの視線をまるで気にしていない5人にちょっと感心しつつも、5人が傍にいてくれてよかったと心から思った。
まだ彼等の事は、詳しくは知らないけど…酷い扱いはされたけど助けてくれたし、ここまで連れて来てくれたもんね。
そしてそんな事を思っていると原くん達ががんばーとわたしの肩を軽く叩くと、わたし達から離れて行ってしまい少し不安に思いつつ頭を傾げた。
「報告には俺と花宮が行くから、原達は俺等の部屋に戻っただけ」
「え、顔に出てた?」
「そりゃあもう、ね。なんで? どこに行くの? って不安そうな顔してたよ」
「く、くぅ…当たってるけどやめて」
「ま、花宮が上手く説明してくれるだろうから沢村さんは、大人しくしてればいいよ」
「わかった。後、別に呼び捨てでいいよ? なんか呼びにくそうだし」
「じゃ、奈々?」
「名前は予想外だった…」
「だって、わざとだし」
「瀬戸くんが意地悪い」
「それ今更じゃない?」
そんなよくわからない会話を瀬戸くんと繰り広げていると、花宮くんにうるせぇと一喝されてしまった。
そして如何にも、わたしのせいで俺まで怒られたじゃんと言わんばかりな顔をする瀬戸くんであった。案外、子供っぽいところもあるんだなぁ…とか思ったり。
背は高いし、頭は良いみたいだし、ちょっと怖いイメージが強かったけど、よく考えたら瀬戸くんにはそんなに酷い事されてないや。
むしろ、結構気に掛けてくれてるよね。
「さすがにチョロ過ぎない?」
「えっ、」
「顔に出てるからね。それと俺に対して優しいとか良い人って思うのは、原とか古橋がいるからだからね」
「わたし、そんな顔してた? 瀬戸くんの自意識過剰じゃない?」
「言うじゃん。まぁ、俺は他人にあんまり興味ないしどうでもいいんだけど、奈々が死んだら脱出が出来ないとかになっても困るからね」
「つまり、わたしが脱出に必要じゃなかったら?」
「それ聞いちゃうんだ? まぁ、勿論どうでもいいかな」
…うん、だよね。
そりゃあ、そうだ。
自分の命が掛かってるのに、全く関わりのなかった人間がどうなろうと知ったこっちゃないよな。
やっぱり、瀬戸くん達はある意味…信用出来るなぁ。下手にわたしの期待を裏切らないというか、なんというか。
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