イデアの箱庭 | ナノ
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そして雪は降っているけど、吹雪いてはいないのでそこまで時間も掛からずに中央の棟まで来ました。

ちなみにその移動中に化物に遭遇はしたけど、何故か無駄にテンションの高い原くんと山崎くんが意図も容易く化物を屠ったので…正直、化物より原くんと山崎くんに恐怖した。

その間、わたしは瀬戸くんに色々と話を聞いていたんだけど…聞けば聞く程、意味がわからなくて現実逃避をしたくなったよ。



「死にたくなかったら、簡単に人を信じるなよ。自分以外は全員疑って掛かれ」

「花宮くん達も?」

「ぶっ、可愛い事聞くじゃん」

「こんなにバカ正直に疑われて、酷い扱いされたら…逆に花宮くん達は嘘は付かなそうかなって」

「なぁ、こいつ騙されて死にそうなんだけど大丈夫なのかよ…」



いやいや、逆にだよ。
だってもし、わたしが花宮くん達の立場ならめちゃくちゃ疑うけど…こんなにあからさまに態度には出さないよ。だって普通に怖いじゃん。

軽く優しく接しつつも、めちゃくちゃ警戒するみたいなさ。普通は、そんな感じじゃない? なのに、疑ってる事も隠さずにガンガン責めてくるし…だからって、別に疑ってないよ? とか見え透いた嘘を付いたりもしないし。

アレだよ、ホストみたいな? 目的の為に優しくしてるみたいなさ? だから、相手の裏がわからないし。だったら、悲しいし悔しいしムカつくけど…花宮くん達みたいにハッキリ疑ってるって言ってくれて、扱いも雑の方が信用出来る、かなって。



「まぁ、絶対に嘘を付かないとは言い切れないけど、別に嘘を付く必要性を感じないだけだよねん」

「一理ある」
「それだ」
「まぁ、そうだね」

「……お前が誰を信じて誰を疑うかは自由だが、少なくともお前以外の女は疑っとけ」

「そんな無茶な…」

「適度に仲良くしつつも、心の中では疑っとけって事だよ。間違いなく、沢村さん以外の女子の中に此処に俺等を連れて来た奴がいるからね」



……な、なるほど。
やっぱり、なんだかんだで彼等が1番信用出来る気がする。もちろん、扱いは雑だし平気でわたしを傷付ける様な事を言う人達だけど。

しかも、瀬戸くんにわたし以外って言われてちょっと嬉しい。さすがにまだ完全に疑ってないとは言い切れないって言われたけど、やっぱり嬉しいです。

そんな事を思っていると間抜け面と原くんに茶化され、花宮くんには頭が悪いんだからお前は余計な事は話すなと釘を刺された。

…やっぱり、扱いはもう少し優しくして欲しいです。


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