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「ふぅん? で、話さなかったんだ?」

「多分だけど…なんとなく、伊月くんは気付いてる感じがしたから。それに無理に言わなくていいって」

「まぁ、逆に倉多を怪しいって思ってないやつの方が少ないだろうしね。そもそも、奈々は分かりやすいし」

「俺達でもない、化け物でもない、ましてや転んだ訳でもないってなったら…言えない誰かにやられたんだろうとなるだろうな」

「で、消去法で嫌でも倉多になるだろ。そもそも、沢村は俺達の事を知らなかった訳だし。他の奴等とは必要以上に関わってない上に、部屋に隠ってたんだからアイツしか候補いねぇだろ。一応、アイツも女だし」



…な、なるほど。
みんな顔見知りだからこそ、って感じかな。それでも真っ先に疑われる花宮くん達は、流石だと思うけどね。

それにしても、いくらわたしが邪魔だからって…怪我をさせたりしたら逆に自分が怪しまれるとか思わなかったのかな?

いや、あの時は黄瀬くんの事で頭がいっぱいで怒りのままに勢いでやっちゃった感じかな。まぁ、理由はどうあれ…わたしからしたら物凄い怖い思いをしたけどね。



「んな事より、お前は印の他に何か見付けたりしてねぇのかよ」

「えっ、いや…何もなかっ…あ、なんか難しそうな変な本があった…かも」

「本? 持って帰って来なかったのかよ」

「机に貼り付いてる…って言うのかな? 手に取れない感じだったんだよね」

「言語は」

「…わ、わかんない。多分、英語ではないと思う…どっちかというと記号みたいな感じ?」



そういえば、伊月くんと怪しい本を見付けた後に重要そうな桜の形をした印を見付けたせいで、すっかり忘れてた。

多分、伊月くんも印の方に気がいってたし…普通に忘れちゃってるんだと思う。わたしも花宮くんに他は? って聞かれるまで、本当に忘れてたし。まぁ、全然馴染みのないモノだったから印象に残ってなかっただけなんだけど…。



「……場所は覚えてんのか」

「え、うん。多分、覚えてる」

「持ち帰れない本、ね。ちょっと気になるね」

「…チッ、気は乗らねぇが伊月にも話を聞きにいくか。沢村には、わからなくても伊月なら他に気付いた事があるかもしれねぇし」

「せめて、何語くらいかは知りたいよね」

「まぁ、期待はしてねぇがな」



そして、些細な事でも忘れられては困るという事ですぐに伊月くんの元へ向かう事になった。

ちなみにお留守番してようとしたけど、許されなかった。


※伊月くん呼び出し(付き添いに木吉くん)
(確かに、不思議な本はあった)
(言語はわからねぇのか)
(…あぁ、悪いがわからない)
(わかる範囲でいい、どんな感じか書いてみろ)
(沢村さんも書いたの?)
(…え、と…下手過ぎて…ミミズっ言われて)
(こいつが論外だったからお前に聞いてんだよ)
(俺だって似たようなもんだと思うが…)
(……アラビア語、いや…ヒンディー語か?)
(ほぅ! 花宮は凄いな! これだけでわかるのか!)
(チッ…喧しい、黙ってろ)
*ダジャレを言わない伊月はただのイケメン

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