イデアの箱庭 | ナノ
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最初は、やっぱりなかなか会話も出来なくて…ちょっと警戒もしていたんだけど、黒子くんが良い感じに間に入ってくれたりして、それなりに話も出来る様になって探索も順調だった。

そう、だった! 過去形!



「う、うわぁぁあ! 待って待って、聞いてない! 熊がいるのは聞いてたけど、襲って来るとは聞いてないよー!!」

「火神、それ投げろ!」

「ウッス!」

「鉄平! 沢村さんくらいなら抱えられるわね? 沢村さんを抱えて、あの建物に向かってちょうだい! 扉は閉めて構わないから、沢村さんを必ず守って!」

「おう、わかった!」



そう、わたしは熊に襲われていた。しかも、わたしに一直線なんだよ! この熊!! わたしより熊の近くにいた筈の日向くんや相田さんを無視して、わたしに一直線に走って来てるからね! あからさま過ぎて笑っちゃうよね。全然笑えないけど!

普通に考えて、あんなのに襲われたら死んじゃうよ!!

そんなこんなしてる間に、木吉くんが軽々とわたしを抱えて走り出す。本当に抱えられたよ! 木吉くんの大きな肩がお腹に食い込んでて、更にはダッシュの振動で口から何か出そうだったよ。

だけど、どう見てもわたしが走るより早かったので…我慢して黙ってました。

そして階段もなんのその、最上階までわたしを抱えたまま駆け上がり周りを確認すると、ゆっくりと下ろしてくれた。



「大丈夫か? おっ、熊は追っては来てるみたいだが…建物の中には入って来れないみたいだな!」

「うっ、うぇ…あ、ありがとうござい、ます…」

「それにしても可笑しいなぁ。前に来た時は、襲って来る様子もなく大人しかったんだがなぁ…。うーん?」

「…わ、わたしを殺したいんだと思う」

「なんでそう思うんだ?」

「……ま、前に北と南に探索に行った時もわたしといる時にゴリラやサソリに襲われて…た、多分…わたしを狙ってるんだと思う」



不思議そうに窓(?)から下を見下ろしている木吉くんに今までもゴリラやサソリに襲われた事を話すとふむふむと何か考える様な素振りを見せるとジーッとわたしを見つめた。

えっ、わたし…なんか変な事言ったかな!? ていうか、今の話って言ってよかったんだっけ? あれ、ダメなんだっけ? いや、でも…別に花宮くん達に口止めとかされてなかった様な? あ、あれ〜…?



「きっと沢村が旨そうに見えるんだな!」

「……え、えぇっ!? うま、旨そうって…」

「確かに、沢村は筋肉質じゃなそうだし旨そうにみえなくもなっ」

「ダァホ! なんつー事を言ってんだ! お前は!!」

「それ軽いセクハラよ、鉄平…」

「沢村さん、大丈夫ですか? 怪我してないですか?」

「うぇっ! え、だ、だだ大丈夫だよ!」



木吉くんのまさかの発言に驚いていたら、いつの間にか黒子くん達が上がって来ていた。そして、日向くんと相田さんに怒られている木吉くんである。

い、いや…木吉くんが悪気がないのはわかってるし、多分本当にただそう思っただけで…そういうつもりじゃないんだろうけど、ちょっとビックリした。そして旨そうに見えるは、とても嬉しくない。

ていうか、本当にわたしだけを狙ってるらしくみんな普通に無傷だった。あからさまにわたし狙いだったけど、わたしがいなくなったら違う人を襲ったりする可能性もあって、心配だったからよかった。


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