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最初からこの黄瀬くんだったなら、全然気にせず接する事が出来たと思うけど…あの塩対応をされてるし、倉多さんに対しての悪態も聞いてるからなぁ。
「ふはっ、お前は信用ならねぇとよ」
「そこまでは、言ってないよ! ちょっと怖いなーとは思ってるけど!」
「えぇ、なんでッスか!?」
「い、いや…だって態度がコロコロ変わるから…」
「まぁその分、花宮達は一貫して態度変えへんしなぁ。そりゃあ、あんだけ冷たかった人間が急に優しくなって、好意的にガンガン話し掛けて来たら怖いやろなぁ」
「あ、あの時は本当にただ警戒してて…! 確かに、態度悪かったし酷い事も言ったッスけど…」
「ほー、酷い事言うたんや。何言ったんかめっちゃ気になるわぁ〜」
「えっ…いや! あの時の事は謝ってくれたし、気にしてないよ。ただ、ちょっとよくわからないなぁって…なってるだけで」
いや、本当にただよくわからないなぁって理由で怖いだけだよ。どれが本当の黄瀬くんなのかが、よくわからないのはもちろんだけど…好かれてる理由もよくわからないからね。
今吉さんが言うように花宮くん達みたいに誰にでも同じ態度と言うか、わかりやすい性格じゃないと言うか…。
ていうか、こんな距離感がおかしい人と会った事ないからよくわからないんだよね。アレかな? モデルだから〜みたいな感じなのかな。いや、本当によくわかんないや。
「ぶはっ…お前、絶対にモテないだろ。可愛くねぇ」
「なっ、花宮くんにだけは言われたくないよ!」
「生憎、俺は要領が良いんでな。それにお前みたいにバカでもねぇからな」
「性格めちゃくちゃ悪いじゃん!」
「ははは、ド直球に言うやん。まぁ、なんちゅーかアレやろ? 色々な黄瀬くんを見ちゃったから、素直に好意を受け取れんのやろ?」
「そ、そう…それです!」
「ぶはっ、人の好意を素直に受け取れねぇとか可愛くねぇ女だな」
前まではもう少し素直だったよ! こんな場所に連れて来られたせいで、わたしは荒んでしまったんだ! 前のわたしなら素直に喜んでただろうし、黄瀬くんと仲良くなれるとかラッキーくらいは思ってたよ!
そもそも、黄瀬くんの性格とかも知らなかったし。雑誌の中のイメージしかなかったから余計だよね。
で、実際はあんまり性格は良くなさそうだし…裏表激しそうだもん。もちろん、わたしも性格が良いとは言えないので強くは言えないけど…。
いや、そもそも…わたしが黄瀬くんの好意の受け取り方を間違えてる説。普通に考えて自惚れんなって話である。
(…俺とは仲良く出来ないッスか?)
(え、いや…友達としてなら全然)
(ふはっ、"友達" ねぇ?)
(今はそれで全然いいッス!)
(はは、全然めげてないやん)
(話せるだけで嬉しいッスよ!)
(そ、そう?)
(あ、もちろん倉多がいる時は気を付けるよ)
(う、うーん…それは気にしなくていいかな)
(えっ!? でも危ないんじゃないんスか?)
(まだちょっと怖いけど腹立ってるから)
(ふはっ、良い性格になって来たな)
※全力ワンコの黄瀬にたじたじである
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