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ていうか、話がしたいって言うのはわかるんだけど…花宮くんもいて大丈夫なのかな? 普通に考えて、花宮くん達はみんなに警戒されていると言うか…避けられてる訳だし、あんまりいて欲しくはなさそうな気がする。

まぁ、わたしとしては花宮くんがいてくれた方が安心するけどさ。



「奈々ちゃんが俺に用があるって聞いたんスけど、どうしたんスか?」

「えっ、いや…用と言うか、えーと…前に黄瀬くんがわたしと話がしたいって言ってたから」

「覚えててくれたんスか!? えっ、いや、嬉しいんスけど大丈夫なんスか? 俺と居たらまた」

「ん、んー…大丈夫かと言われたら大丈夫ではないと思うけど、ずっと怯えてるのもアレだし…それに別に黄瀬くんは悪くないのに色々とみんなに言われたりしてたから…大丈夫かなって」

「…そんな事、考えてくれてたんスか? やっぱり、奈々ちゃんは優しいッス…!!」

「う、うわぁ! 近いよ黄瀬くん!」



正直、そこまで喜ばれるとは思っていなかったので色々と驚いてはいるが…中でも1番なのは、黄瀬くんの距離感がおかしい事である。

それなりに学校では仲の良い男子はいるけど、こんな近距離で話し掛けられた事はない。もちろん、手を握るなんてもっての他だ。

そもそも、黄瀬くんとわたしは此処では初対面だった筈で…ここまで黄瀬くんに好かれる理由がない。むしろ、愛想は良くないし…探索中に情けない泣き顔を晒したりと…マイナスな気がする。

その結果、正直ちょっと怖いまである。もちろん、黄瀬くんが悪い人じゃないのはわかってはいるけど…。



「あ、つい嬉しくて…ごめんッス」

「いや、うん…別に大丈夫だけどね…」

「ふはっ、顔引き攣ってんぞ」

「…う、うるさいよ! 」

「そう言えば、体調は大丈夫なんスか? 詳しく説明はされてなかったんスけど…」

「えっ…あ、あぁ! 大丈夫だよ! 花宮くんのお蔭で、もう元気になったから」

「ならいいんスけど…。俺なんも出来ないし、むしろ一緒にいると危険かもしんないッスけど…なんかあったら俺が助けるんで頼って欲しいッス!」

「…え、うん、ありがとう」



…うわぁ、どうしよう。
こんなにわかりやすく好意を向けられると困る。本当に困る。ただ困る。

そして、そんなわたしの様子を至極愉しそう見ている花宮くんと今吉さんである。この2人がいるのにも関わらず、何故かわたしに対して全力な黄瀬くん。

もうなんか嫌になって来たよ。
そもそも、話すだけでも倉多さんの逆鱗に触れるのに好かれてるってなんだ? しかも、理由が本当にわからない。

いや、もしかしたら…黄瀬くんは誰にでもこういう態度を取るのかもしれなっ…くないな。

初対面の時の塩対応を思い出せばわかる様に、多分だけど…接する相手によって態度が変わるのはもちろん…自分の認めた?好きな?相手にはガンガン絡んで来るタイプっぽいよね。

しかも距離の詰め方が凄い。


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