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さっきは、心配なんてしてないって言ってたけど…花宮くんは、まだわたしの体調を気にしてくれてるんだと思う。そもそも、さっき起きたばっかりだしね。
ていうか、花宮くんからしたら死に掛けてたわたしを見てる訳だし…そもそも、運んでくれてるし。そりゃあ、今は大人しくしてろって言いたくなるよね。
「ふーん? なんやようわからんけど、呼んで来てやろか? 起きてるかは、わからんけど」
「えっ!」
「花宮はホラ、絶対に呼びに行ったりせんやろうし。まぁ、此処に呼べば花宮もおるし安心やろ?」
「俺、此処に居るとか言ってませんけど?」
「そないな事言うて、なんだかんだで部屋に戻らん癖に〜。ほな、ちょっと行ってくるわ」
う、うわぁ…。
物凄く面倒臭そうな顔をしたかと思ったら、めっちゃ笑顔で花宮くんがわたしの頭を鷲掴みにした。
いや、わたしまだ何も言ってないよ!! ていうか、今吉さんに関しては有難いけど…わたしからまだ頼んでなかったからね!?
必死に花宮くんの手首を掴んで抵抗するが、まるで意味がなくギリギリと頭が痛い。そんなバスケットボールを掴むように人の頭を鷲掴みにしないでいただきたい!!
「は、花宮くん痛いよ! わたし、何も言ってない! 怒るのおかしっ…いたーい!!」
「あ? お前が要らん事言ったから、あの妖怪が面白半分で黄瀬なんかを呼びに行く事になったんだろ」
「わ、わたし! 黄瀬くんなんて言ってないよ! 黄瀬くんの名前出したの花宮くんじゃん!」
「………お前が悪い」
「り、理不尽! わぁ、痛い痛い! グリグリしないで!!」
どう考えても、わたしは悪くないのに理不尽である。
そしてギャーギャーと花宮くんと騒いでいると、突然花宮くんの動きが止まり顔を上げて花宮を見ると物凄く嫌な顔をして、わたしの背後を見ていた。
うわぁ、凄いわかりやすい!
そして誰かが駆けて来る足音に更に確信した。黄瀬くんが来たんだろうなぁ…と。
「奈々ちゃん!」
「あっ、は、はい! ちょ、花宮くん手離して! 黄瀬くん来たから!」
「知るか」
「このまま背中向けて話せって事!?」
「ぶはっ、いいなそれ」
「全然よくないよね! ちょ、うわぁ! もう、花宮くん!!」
「うるせぇ、さっさと用済ませ」
本当に自分勝手と言うか、自由だなぁ…! 無理矢理、後ろを向かされたかと思ったら背中を押されました。
そして何故かウッキウキでキラキラな黄瀬くんと目が合いました。どうしてそんなに嬉しそうなんだろう…いや、わたしと話がしたいとは言ってたけどさ。
なんか散歩に行く前のワンちゃんみたいだ。
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